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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
8学生寮
強制的に寮に帰らされ、しばらく療養生活を余儀なくされたディアナは手厚い看護を受けることになった。
学生寮と言っても貴族が通う名門校なので平民が通う学生寮よりも立派だった。
過去に使われた王族のお邸を寮にしているので、古びているが小さなお城のようだった。
特にランク別で寮の優劣が変わる。
ディアナが住む寮は、生徒会メンバーの中では一番
質素であった。
年数は千年以上と古く、芸術家からは愛される離宮だった。
「こちらになります」
貴族令嬢から古すぎて幽霊が出るとも言われており、不人気で寮を案内した学園内の使用人はそそくさ出て行った。
「かなり老朽化が進んでいます。いくら何でも…」
ルクティアが他の生徒とは待遇が違い過ぎると思いディアナを見ると…
「すごいわ!世界遺産だ!」
「お嬢様…」
「ロココ風で、プティ・トリアノンだ!」
興奮するディアナにルクティアとルーカスは驚く。
これが他の貴族令嬢ならば古臭いと言って怒るのだが、ディアナは前世のころから昔の建築に興味を持っていた。
「かまども素敵」
「魔女のかまどと同じですね」
魔女のかまどとは子供ならば誰もが知っている童話だ。
お菓子屋を営む魔女の物語だ。
そこに出てくるのが煉瓦で作られた現在のかまどとは異なりかなり古かった。
「暖炉もあって素敵」
「お嬢様…」
シャンデラ伯爵家の邸内のデザインは煌びやかさはあり、現在の社交界の流行のものだったが、ディアナは昔ながらの作りの方が好みだった。
「暖炉の近くでお茶を飲んでみたかったの」
「お嬢様…」
シャンデラ伯爵家では、食事をする席は決まっており、
暖炉から一番遠く、食事以外の時も暖炉の傍で本を読みたくても、席を譲らなくてはならなかった。
広間でゆっくり本を読むことはほぼなく、
あるとすれば自室だけだったので、温かい暖炉のある広間でお茶をしながら読書をできるなんて贅沢な気分だった。
「それに日当たりもいいし」
「私、悲しすぎて」
「お嬢様の部屋は日当たりが良くなく、一番ダイニングに近いですから」
一番広い部屋はカミエルで日当たりの良い部屋はファティマだった。
ディアナの部屋は朝起きてすぐにダイニングに行けるように一番小さく二階の階段を上がってすぐの場所だった。
急な客人の応対や、ファティマの身支度の準備を手伝う為に扉は閉めてもすぐに駆けつけられるようになっているので夜ぐらいしか自室でこもって勉強ができる環境ではなかった。
「ここなら暖炉の前で本を読んでも叱られないわよね」
「もっ…もちろんですお嬢様!」
耐えきれず泣くルクティアをルーカスが慰め、新たな生活に期待を膨らませるのだった。
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