地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第1章白銀の錬金術師の奮闘記

10友人の嘆き




素振りをしても気が晴れることがない。
怒りは刃を鈍らせると幼少期から叩き込まれていた。

分かっているのにどうしようもない。


「何時まで続ける気?」

「お前か」


ウィンリィに声をかけられるも素振りを続けようとするが止められる。


「騎士科の先輩方が困っていましてよ」

「うっ…」

「少しは冷静になりなさい」


この怒りをぶつけたい。
鍛錬に励んで汗を流せば少しマシになると思ったが意味がなかった。


「ディアナがいない」

「寮で休んでいるわ」

「そういう意味じゃない!何でディアナがこんな目に合わされてあの女は学園内で悲劇のヒロインごっこをしているんだ!一般科にいると嫌でも耳にする!」


学年が違っても校舎は同じで、三年生の教室の噂は筒抜けだった。
共同スペースでも、ファティマは自分こそが被害者だと言い回り、毒を飲まされたディアナは自作自演だ間接的な言い回しで噂を流している。


「一番質が悪いのは、本当に悪気がない顔をしているのだから」

「悪意の塊だろうが!ディアナが優しいことを良いことにあの女はディアナを心配する振りをしている」

セフィーナが許せないのはディアナを利用し続け、悲劇のヒロインぶっているところだ。
毒を仕組んだのはファティマでなくても目の前で倒れた妹を見殺しにした事実は変わらないのだから。

その後も見舞いにすら来なかった。


「大げさに騒ぎ過ぎだと言っていたわ」

「かまってほしいから大騒ぎしたのだともな」


家族なのにどうしてここまで酷い仕打ちができるのか。
セフィーナは理解できない。


「家族だから無条件に愛されるなら、貴族社会はもう少しマシでしょう」

「だが…」


「だけど気に入らないのはディアナを犠牲にして未だに仲良し家族ごっこをしていることよ」



ウィンリィはセフィーナほどの清廉潔白ではない。
社交界の汚さも知っている。


貴族である以上、骨肉の争いをすることもある。


「ディアナの犠牲で成り立った家族が未だに理想の家族ごっこをしていることが許せないわ」


「もうディアナを傷つけたくない。だが、転科したディアナを傍らで守るのは困難だ」


せめて一般科の間違った噂だけでも消したと願うセフィーナだったが、噂を完全に消すことは不可能だった。



「なら、別の方法があるでしょ?」

「何?」

「噂って怖いのよね。本当に…」


笑顔なのに目が氷のように冷たいウィンリィに寒気がしたセフィーナだった。



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