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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
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翌日、体調も回復したディアナは医師からも回復力の速さに驚かれていた。
右手の後遺症もほぼない状態で、今日から再び学園に通うことを許可されたのだが、ルクティアが心配のあまり教室まで同行すると言い出して困り果てていた。
「お嬢様!お一人でなんて!」
「いや、教室までは使用人は入れないし」
「だったら私も学生に…」
「それは無理かと」
普段寡黙なルーカスが口を開き、失言を零しルクティアは睨みつける。
見た目は十代後半に見える童顔であるが、流石に誤魔化すのは難しいので諦めてもらおうと思ったディアナだったが、もっと厄介な者がいた。
「お嬢様にはこの私が付き添います。護衛騎士として」
「もっと無理だから!」
味方だと信じていた常識人が豹変した瞬間だった。
真面目の塊と言われた男、ルーカスが度重なる事件により暴走していた。
「随分と賑やかだね」
「はぁー…迎えに来てみれば」
玄関先で騒いでいるのを静観していたのはアルフレッドとシリルだった。
「シャンデラ嬢の護衛騎士。お前は警備隊に配属だ」
「え?」
「紹介状は出してある。腕と騎士としての品格は問題ない」
シリルに見せられたのは、学園内で生徒の使用人が警備隊に入る為に必要な紹介状だった。
「基本、使用人が入れる施設は制限される。だが正式に学園の警備隊に入ればある程度の校舎には出入り可能だ」
「何故…」
先日の医務室での無礼を思えばありえないと思ったルーカスはシリルに尋ねた。
「あの状態で、主を守ることを最優先したのは騎士として正しい。相手が誰であれ主を守ることしかお前の頭になかったようだからな…俺も悪かった」
潔く誤解をさせたことを詫び、なおかつルーカスの騎士としての覚悟を見た。
通常、貴族の令息に剣を向けるなど熟練の騎士でもありえないのだ。
主を守ることこそが騎士の使命。
ルーカスの振る舞いは一介の騎士を超えて、志は近衛騎士団の指揮官クラスだった。
「お止めください。本来ならば不敬罪として私は裁かれる身」
「まぁ、社交界でならば…だけどね?でも、君は騎士として権力者にも屈しない姿勢を見せちゃったからね」
軽い口調で言われるも、事態はかなり重かった。
ルーカスの行動は褒められたものではないかもしれないが、騎士としては正しいと評価されている。
「使用人の振る舞いは主人の責任。逆を言えば主人として相応しい振る舞いをするからこそ侍女も騎士も相応しい振る舞いをするということだよ」
「ルーカスは元より私にはもったいない騎士です」
「うん。控えめだね?でも今日からダメだよ」
「はい?」
ダメとは何を指しているのか。
アルフレッドの発言が分からないディアナにシリルが頭を抱えた。
「今後、他の生徒の使用人と顔合わせをするだろう。その時お前がそんな態度では舐められるだろう」
「あっ…」
「お前の行動一つでお前の使用人の命すら危うくなるということだ」
シリルの言葉にディアナは息を飲んだ。
例えシャンデラ家から縁を切っても、ディアナが変わらなければ二人を守ることができない。
むしろ伯爵令嬢でなくなれば厳しい立場に立たされるのはディアナではなくルクティアとルーカスだった。
「自覚を持て。己の立場が軽くないことを」
遠回しに二人が大事ならばディアナが守れと受け取れる言葉だった。
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