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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
18新しい噂
数学の授業からディアナはクラスで着実に評価を上げていた。
座学の授業は一般科と異なり理系が多く、ディアナの得意分野だった。
また語学の授業でも、幼少期から地道な努力をしていることもあってか問題なかった。
学ぶことが好きなディアナは早いスピードで知識を吸収していたが、嫉妬をする生徒が少なかったのはディアナが努力家だったからだ。
途中での転科でリスクがあるので他の生徒の何倍も努力をしていた。
その姿勢に感心する者はいてもけなす者はいなかった。
一般科では物覚えが悪いと散々馬鹿にされ、天才肌の姉と比べられていたこともあって辛い思いをしたが、特別科では怠ける生徒はすぐに落とされる。
元より努力しない生徒は特別科に入ることもできないのだから。
「聞きましてディアナ様の噂」
「ええ、先日の学年試験ではトップだとか」
「転科してすぐに、意地悪な数学教師を泣かせるほどの頭脳を発揮されたと聞きます」
一般科の高等部一年生の間ではディアナは憧れの的だった。
特に下級貴族出身である女子生徒達からすればディアナの姿勢は尊敬の対象だった。
「私の兄は特別科なのですが、ディアナ様は才能に怠けることなく勉学にお励みだとか」
「まぁ、才能を自慢して努力を怠る方と大違いですわ」
「ご本人は控えめで、自慢もなさらなくて…本当に素敵ですわ」
「ねぇ?」
ディアナの賛美が広がる中、一年生達は眉間に皺を寄せながら通りすがる人物を見て冷めた視線を送っていた。
「来ましたわよ」
「堂々と真ん中を歩くなんて」
「さも自分の歩く先は道を譲れと言わんばかりに」
教材を抱えている一年生は道を譲ろうとするものの、人通りが多くて難しかった。
「道を開けなさい」
傲慢な態度のファティマは一年生が重い教材を運んでいるのにもかかわらず道を開けろというが…
うっかり教材を落としてしまう。
「きゃあ…」
「私の前に教材を投げ捨てるなんてどういうつもり!」
「そんな。私は…」
ファティマの声に驚いて涙目になる女子生徒は怯えた表情を見せる。
「道を開けろと言われたから私は…」
「まぁ、私に口答えする気?上級生である私になんて失礼なの!」
「そんな酷いです…」
ファティマの声が響く中、一年生は委縮するばかりだったが。
「何を喚き散らしているのだ」
「生徒会副会長!」
その場に現れたのはシリルだった。
「休み時間と言えど、廊下で騒ぎを起こすとは論外だ」
「お待ちください私は…」
「しかも、堂々といじめか」
シリルは床に落ちた教材を拾い、荷物を一年生から奪う。
「副会長!」
「私は女子生徒ではなく男子生徒に頼んだはずだ。伝達不足ですまなかった」
「いえ…そんな」
「重い方は私が持つので、他を手伝ってもらえるか?」
「はい!」
一年生は涙目になりながらも笑顔を浮かべた。
他の一年生も憧憬の眼差しを送り、ファティマの姿は既に目に入っていなかったのだが…
「シャンデラ嬢は反省文を書き罰則だ。一年生を正しく指導するのが上級生の役目だ。今後気をつけろ」
「なっ…私が反省文?」
「淑女科であるなら、もう少しマナーを身につけろ」
公衆の面前で恥をかかされたファティマは周りから笑い者にされ、庇ってくれる生徒は誰一人としていなかった。
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