地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第1章白銀の錬金術師の奮闘記

27騎士への贈り物






特別科の校舎を出た後、ディアナは背後から声をかけられる。

「お嬢様」

「ルーカス」

「お迎えに上がりました」

学園内の警備として雇われているが、ディアナの送り迎えは許されている。
登下校の送り迎えを最優先させられ、授業を受けている時間は警備に当たるという契約になっている。


「ご友人とご一緒でしたか」

「うん…」

「やだぁ、素敵!」

「ディアナ!なんて素敵な殿方なの」


二人は黄色い歓声を上げる。
世間一般で言えばルーカスの外見は整っており、体格も良い。


「護衛騎士のルーカス・クラフトと申します。お嬢様を今後ともお願いいたします」

「もちろんですわ」

「ええ…でも、本当に素敵ね」


ポーっとなる二人の視線にまるで気づかないディアナ。
もちろんルーカスも二人が頬染めているのに気づかずに会釈をしてそのまま別れたのだった。



「ご友人ができて安堵いたしました」

「うん。ありがとう」


学園内で様々な噂が流れている中でルーカスが心配してくれているのは分かっていた。
一般科での噂は知らないが、あんな事件が起きたのだから悪い噂が流れているのは分かっていた。


「ルーカス。大丈夫?」

「はい」

何がとは聞かなかった。
ディアナが何を心配しているのかお見通しだった。


「あ、そうだ」


寮に到着する間際に思い出したように立ち止まり鞄の中を開けた。

「今日ね美術の授業で作ったの。ルーカスに」

「私にございますか?」

「うん、付与魔法に使う魔石が入っているの。ルーカスは騎士だから」


学園内の警備が仕事でも緊急事態になれば、騎士団から命令が下さるだろう。
そうなった時にまともな装備品もないルーカスは身を守れない。

「あんまり役に立たないかもしれないけど」

「いいえ、ありがとうございますお嬢様」


ブローチを受け取り大切に握る姿を見て安堵していると大きな声が聞こえた。


「お嬢様ぁぁぁぁ!」


「ティア…」


「何故ハンカチを振っているのか」



二人は恥ずかしそうにしながらも駆け足で寮に向かうのだった。



新しいクラス、新しい友達に新しい居場所。
変わりゆく環境の中で少しずつ前に進むことができるようになったディアナは幸せを感じていた。


過去を忘れて今を生きようとしていた。
しかし光あるところに必ず影があるように。


太陽を支えた月が消えれば太陽は輝けなくなるように、すべてが完璧だったと思えたファティマに暗雲が立ち込め、その影はファティマだけではなくシャンデラ伯爵家にも影響が出ていた。



「どうして…何で私が!」

「ファティマ様」

「ディアナが王家のサロンに招待されて、私は謹慎なんて!」



支えを失った太陽は輝きを失っていたのだった。



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