地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第1章白銀の錬金術師の奮闘記

28悩み相談





ウィステリア王国・ブリチア宮殿。
歴史ある宮殿で、敷地内には幾つかの宮殿が存在する。

ブリチア宮殿の隣にある宮殿は王女宮と呼ばれる。
その中にパル・ロワイヤルと呼ばれる宮殿があり、政治や芸術を語る場として使われていた。


ウィステリア王国第一王女ビアンカがサロンとして身分に関係なく出入りを許していた。

ただし誰でも入ることができるわけではない。
招待を許されるのは学者、芸術家、音楽家等あらゆる分野に精通した者か、それらの分野にて将来活躍すると見込まれた、選ばれた者だけだった。



例え国王であっても許可がなければ出入り禁止とされるほど敷居が高かった。


「知らなかった。絶対に場違い」


その狭き門に入ることになるディアナは一人ブツブツ言っていた。


しかも生徒会室でハンコを押しながらだ。



「おい」

「…どうしよう」

「聞いているのか!」

「逃げよう」


独り言をブツブツ言う姿は奇妙過ぎるのだが、仕事はちゃんとこなしているので生徒会メンバーは止められずにいたが、一人だけ勇者がいた。


「いい加減にせんか!」

「はう!」

「変な返事をするんじゃない」


シリルに怒鳴られてようやく現実に引き戻される。


「独り言をブツブツ言うな。周りが困っているだろうが…部屋でしろ」


「いやぁん!シリル様ったら部屋ならいいの?」

「茶化すな。私が言っているのそういうことではない!周りに迷惑をかけるなと…」



いつもの調子で怒鳴ることはしなかった。
シリルなりにロクサーヌに咎められたことを気にしていたのだった。



「シャンデラ嬢、パル・ロワイヤルの招待を受けたんだろう?」

「はい」


「行きたくないのか」


ディアナから書類を奪い向かい合う形で話をする。
これ以上放置すれば生徒会の仕事にも支障がでると危惧したので話をしたのだが…


「無理です。私がパル・ロワイヤルなんて敷居が高すぎます!粗相をしてしまいます」

「別にお茶会に参加するわけではないだろ?」


サロンでも種類がある。
国王のサロンであれば礼儀を重んじ、少しの粗相が大きな粗相に代わる。


だが、王女のサロンは決して堅苦しいものではない。


「それに手土産は何をご用意したらいいのでしょうか!王女殿下がお気に召されるものなど私は…」


「いや、手土産は必要ないだろ。お前が先生に推薦されたのだから」

「手土産なしなんて失礼です!」


「…そうか」


シリルは意外にも感心した。
通常教師から紹介状を受けた時は手土産を用意しようと考える生徒は少ない。


あくまでサロンだからだ。
以前、無理を言ってサロンの出入りの許可を得ようとしてビアンカのご機嫌取りをした貴族令嬢はサロンに不釣り合いな贅沢の限りを尽くした品を送ったが、ビアンカの怒りに触れて強制退場になったことを思い出した。



ウィステリア王国第一王女ビアンカは美しい容姿をしている一方で、貴族派の過激派から警戒される程の政治手腕に優れていた。


ウィステリアの女帝ともいわれるほどだ。
国王には二人の王子がいるのだが、王座に就くのはビアンカだと考えていた。


万一ビアンカが王座を継がないならば相応しい貴族を婿に迎えると言わせる程だった。


男尊女卑の世で、ビアンカに否定的な者は多い。
だが、女性にも学ぶ機会を与えるべきだという考えゆえに他国よりも女性の学ぶ場が与えられているのだ。


ディアナにとって雲の上の存在で同じ空間にいることさえ恐れ多く感じていた。


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