地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第1章白銀の錬金術師の奮闘記

38門前払い





寒い風が頬をかすめる中、オルフェはスラリンカ商会の門を叩いた。
少し前ならば外の気配を察して出てくるのだが、今はそれがまるでないのだ。


「これはこれは、ルーズベルト様。何か御用でしょうか」

「会長に話がある」


「申し訳ございません。会長は不在です。お越しになるときは面会の手続きをなさってください」


遠回しにもう二度と来るなと言っているようなものだ。
貴族の子息でしかないオルフェが大商会の会長と直接約束を取り付けることはまずできない。


「約束って…ここ数日君の商会の商人は邸に来ないじゃないか」

「私達は仕事を請け負いお伺いしております」

「今までは呼べば来ただろ」

「はい。ディアナお嬢様の婚約者様でしたので格別の対応をさせていただきました」


その言葉にカチンと来たオルフェは眉を釣り上げる。

「無礼な」

「それは申し訳ございません。無礼な商会は相応しくないでしょう」


「何だその態度は!今後お前の店とは取引を一切しないぞ」

「かしこまりました。ではそう手続きをさせていただきます」


「は?」


オルフェの言葉を幸いと受け取る。
証言は取っているし、周りに人だかりができているので取り消しもできない。


「見て…貴族の子息が乗り込んで来たんですって」

「約束も無しに押しかけて副会長に?あの方は商人ギルドにも顔が利くのに」


「そもそもなんて礼儀知らずの坊ちゃんだ。どうせ成金だろ」


スラリンカ商会は貴族だけでなく裕福な商家も出入りするのでオルフェの横柄な態度は格式のある貴族ならまずあり得ない。


平民でも裕福な資産家も、まずあんな態度を取るなんてあり得ないと思った。
貴族だというならば、お金で爵位を買い、教養もマナーもない貴族ならば割といるのだから。



「待て…私は」

「後日、ルーズベルト伯爵家には正式にお手紙を送りますので」


「待て!」



門を固く閉じられ、茫然と立ち尽くすことになる。
周りからは冷やかな視線を送られる中、御者が声をかけた。

「お客さん、乗らないなら運賃お願いします」

「くっ!戻れ!」


この場にこれ以上いたくなかったのか、オルフェは馬車に乗り込み、学園に戻るように命じたのだが、道が混んできたこともあり渋滞で、馬車は予定の三倍の時間が必要になり午後の授業に遅刻したので休むことにした。

しかもその授業が抜き打ち試験が行われたため、教師に呼び出されお説教を受けた後に課題と罰で馬小屋の掃除をさせられたのだった。




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