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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
39暗転する元婚約者①
学園内でどこに行っても針のむしろ状態のオルフェは孤立していた。
これまで真面目に授業を受け模範優等生として教師からの信頼も厚かったというのに今はどうだろうか。
一般科ではオルフェを軽蔑する目が常にあった。
以前から同級生との間に距離があったが、あの事件以来友人はほとんど離れていった。
座学の授業でペアを組む時も。
「ごめんオルフェ…先に約束しているんだ」
「悪いな」
遠慮がちに断られる始末だった。
幼少期から気心知れた友人たちの目が変わっていくのを感じた。
昼休みの時も。
「俺達勉強しながら昼を摂るから」
「お前はファティマ嬢とだろ?」
「えっ…ああ」
昼食を一緒に取っているクラスメイトからも誘われなくなり、クラスでは完全に孤立状態だった。
無視をされるわけではないが挨拶をしてもぎこちない。
そんな中、ダンスの授業でパートナーとなった女子生徒がパートナーの変更を求めてきた。
「すいません。先生、パートナーを変更してください」
「は?」
「理由を聞いてもいいかしら?」
ダンス講師が何故かと尋ねると、
「私は学生ですが卒業後は隣国に嫁ぐ身です。社交界で問題のある方と醜聞になりたくないのです」
堂々とした言い方をするのは辺境地に住む侯爵令嬢だった。
来年卒業後には同盟国の侯爵家に嫁ぐことが決まっているのだが、相手は王族の近衛騎士という立場にあり、社交界でも問題になる男性とダンスを踊って噂になりたくないと訴える。
「これは授業の一環です」
「ですが、学園主催のパーティーでも踊りますよね?ダンスを踊っている間に不埒な行為をされたくありません」
「するわけないだろ!」
これには我慢ならず声を荒げ抗議するオルフェだったが…
「ダンスの時に婚約者の姉君の体を引き寄せて踊っていましたよね?」
「あれは…彼女がふらついて」
「ダンス前にもキスをしてました」
「手の甲だ」
「婚約者以外の男にされたら気持ち悪いですわ。セクハラです…私だったら体を汚されたと思います」
潔癖症な考えの令嬢は少なくない。
結婚前に婚約者以外の男に体を触らせるのは悪しき行為と考える家も少なくないのだ。
「ダンスの相手は考慮しましょう。ですが、すべての要望は叶えられません」
「その時は我慢します。嫌ですが致し方ありません」
心底嫌だという顔を隠さない侯爵令嬢。
そんな彼女に頑張ってとエールを送る者まで現れていた。
ダンスの授業は最悪な形となり、普段ならば間違えないステップを間違える羽目になった。
剣術の授業でも問題が発生していた。
「よろしくおねがいします」
「ああ…」
剣術も紳士の嗜みの一つとして男子生徒は必須科目なのだが、騎士科と合同授業をすることがある。
試合形式で行われるのだが、その相手が騎士科の期待の星と言われる令嬢。
セフィーナ・ファイブスターだった。
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