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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
41暗転する元婚約者③
騎士科のエースと呼ばれてもセフィーナは女性。
紅一点だからこそ物珍しさに注目されているのだと思い込んでいるオルフェは自信があった。
(所詮は女性騎士…)
セフィーナの腕は大したことがない。
実践に出ていると言っても一人で戦ったことはないだろうと勝手に思い込んでいたオルフェは名誉回復の機会を逃すまいと思ったのだが…
担当教官の合図とともに試合が始まって三秒。
「へ?」
一瞬の出来事で受け身が取れなかったオルフェは吹き飛んだ。
「勝負あり」
「ウォーミングアップにもならないな」
剣と剣が触れた瞬間にオルフェは吹き飛ばされ剣は折れてしまった。
「先生!これは!」
オルフェは真剣を使ったと文句を言いかけたが、ルーカスが割って入る。
「騎士科の剣は強度がほとんどない見せかけだ」
「は?」
セフィーナの使う剣は子供が剣術の時に使うもので、傷をつけることができない代物だ。
吹き飛ばされたのはセフィーナの力が強かったからだ。
剣が折れたのはオルフェの力が弱く握り方も悪かったからなのだが…
「ありえない…」
「いくら何でも剣術の手ほどきを受けている生徒が?」
「相手は玩具の剣で騎士科の剣を? 使い手があまりにも下手過ぎたにしては」
名誉挽回をするはずが、余計に恥をかくはめになる。
他の生徒もオルフェの酷すぎる立ち振る舞いに失望した表情を見せる。
「武器が変わるとこんなに変わるのか?」
「そういえば今までは剣の手入れも婚約者にしてもらってたな」
「剣術の試合の時にディアナ嬢が剣を持ってきているのを見たな」
「じゃあ実力は剣…っていうかディアナ嬢?」
「ないわ」
騎士科の生徒は基本陰口をあまり言わない。
だが他の生徒は違う。
一年の頃から特注した剣を持ち、優秀な成績を残してきたオルフェは授業の時も怪我が少なかった。
剣を握るときに豆ができたり掌から血が出る生徒はいたが、オルフェだけはなかった。
その理由はディアナが気を使って剣のグリップに細工をしていたからだった。
滑りにくく手に刺激が出ない素材を使っていたが、今使っているのは剣の持ち手に軽く布が巻かれているだけで滑りやすく握りにくいものだった。
手にも全く馴染んでいないのだ。
対する騎士科の生徒はどんな剣でも扱えるように常に様々な剣で稽古しているので問題ない。
「たかが剣術と馬鹿にするからこうなるんだ」
「何?」
「実力もないくせに自惚れるなよ」
セフィーナは他の生徒には聞こえないようにそっと耳打ちするとオルフェは逆上してセフィーナの胸倉を掴む。
「ふざけるな!」
大勢が見ている前で女性に乱暴するオルフェだったが、寸前のところでルーカスが止めに入った。
「ぐっ!」
「何をしている」
「お前…僕は伯爵家の令息だぞ」
「ここでは関係ない。女性に乱暴をするとは騎士の…いや、男の風上にもおけない」
オルフェからすればルーカスはディアナの護衛騎士であり、自分は主人だと思い込んでいた。
未だにディアナの婚約者であると思っているのだから。
「命令だ離せ!主人の命令を聞けないのか!」
「先生、彼は頭を強く打っているかもしれません。医務室に」
ルーカスは無表情のままオルフェを拘束したまま、医務室に運ばせた後、
対戦相手の女子生徒に暴行を働こうとした事で噂に尾ひれがついて流され、試合に負けた逆恨みに暴行した等と噂が流れてしまうのだった。
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