69 / 193
第1章白銀の錬金術師の奮闘記
46男達のお茶会
一方その頃、王宮内の庭園で男達だけのお茶会が行われていた。
「シリル落ち着いたらどう?」
「はい?何のことでしょうか」
アルフレッドに言われるも自覚がない。
ハーブティーにミルクを入れていることに今気づいた。
「申し訳ありません!」
「少しは落ち着け」
「はい…」
ハイネにまで心配される始末だった。
「君が慌てても仕方ないだろ。姉上だっていきなり薫陶なんてしないよ」
「それは…しかしあの方は」
真っ青な表情をするシリル。
幼い頃に薫陶と言いながら散々な目に遭わされた。
社交界では完璧な王女。
別名氷の女王とも言われる程の人物だが、美しい見かけに反して中身はかなりぶっ飛んでいる。
「シャンデラ嬢は情緒不安定でしたし…そのビアンカ様に」
「分かるよ。普通の令嬢は失神するもんね?何度姉上に泣かされたか」
「権力に溺れた馬鹿は姉上に再起不能にされたからな。礼節を重んじず道を踏み外した者には情け容赦ない」
聞けば聞く程心配になるシリル。
ここ最近はようやくディアナも落ち着いてきたように見える。
「まぁロクサーヌ嬢のような前例も」
「毒薔薇姫であるロクサーヌと一緒にすべきではないでしょう」
あんまりな言い方であるが、ロクサーヌは美しく儚げな見た目に反して学園内で不正を犯した者を容赦なく追放に追い込み社交界からも追い出して来た。
女傑として恐れられ、秘密裏に王家の害となる人間を精神的に追い詰めているのだから。
ビアンカに唯一対抗できる令嬢がいるならばロクサーヌ以外いないだろう。
今のところは敵対しないが、万一ビアンカが道を踏み外せばあらゆる手段を使って継承権を奪うだろう。
それだけの責任感と誇りを持ち合わせているのだから。
「君が女性を苦手とする理由があの二人だからね」
「苦手というわけでは…」
「まぁディアナはお前を嫌ったりしないから心配するな」
「心配なんてしておりません。別に嫌われても…」
義務感で女性と関わることができるのに、ディアナに対してはどうにも感情的になることにシリルは頭を抱えていた。
それは他人だからではない。
嫌いならば捨て置けばいいし、ただの生徒会の人間なら最低限の付き合いでも良かった。
「ハイネ、お前はいいのか?」
「何がだ」
「サロンに同行しなくて」
「俺が行けばまた妙な噂が流れる」
今回はあくまで教師の推薦でサロンに招かれたということだ。
三人はサロンの出入りを許されているが、ディアナに同行することはできなかった。
同じサロンの中でも距離を保つ必要がある。
「姉の元婚約者の俺が一緒にいたら今度は何を言われる?」
「現在被害者の彼女が今度は加害者にされるね?しかも最悪なパターンで」
妹の婚約者を寝取った姉が、実は先に妹に婚約者を奪われたからの報復だとなればディアナが悪役になりファティマに同情が集まり立場が逆転する。
「しかも被害妄想の激しいあの女はここぞとばかりに彼女を悪人に仕立て上げるよね」
「ああ…」
「本当に姉かな?いくら何でも酷すぎるよ」
冷めた紅茶を飲みながらアルフレッドはどうしてあそこまで妹を傷つけられるのか。
自分が傷ついたから妹を傷つけていいことにはならない。
腹違いの姉妹でもあそこまで露骨ではないのに。
「もう、ディアナが悲しむ顔は見たくない」
「ハイネ…君」
「あの娘自身が変わらなくてはどうしようもありません」
苦しむハイネに対してシリルは言葉をかける。
「家族からの呪縛から逃れるためにも彼女が戦わなくては手の差し出しようもない」
歯がゆい思いを抱きながら三人は冷めた紅茶を飲みながら時間を過ごした。
あなたにおすすめの小説
試験でカンニング犯にされた平民ですが、帝国文官試験で首席合格しました
あきくん☆ひろくん
恋愛
魔法学園の卒業試験で、私はカンニング犯に仕立て上げられた。
断罪してきたのは、かつて好意を寄せてくれていた高位貴族の子息。そしてその隣には、私を嫌う貴族令嬢が立っていた。
平民の私には弁明の余地もない。私は試験の順位を辞退し、その場を去ることになった。
――だが。
私にはもう一つの試験がある。
それは、帝国でも屈指の難関といわれる帝国文官試験。
そして数日後。
その結果は――首席合格だった。
冤罪で断罪された平民が、帝国の文官として身を立てる物語。
愛人と暮らすために私と結婚した伯爵子息、皇帝宮の夜会で本音を喋る魔道具を使ったらすべて暴露されました
あきくん☆ひろくん
恋愛
愛人と暮らすために私と結婚した伯爵子息。その本性を知ったのは、結婚した後でした。
私は子供を産むためだけの妻。生まれた子は愛人が育て、私は屋敷に閉じ込められる運命だという。
絶望する私が思い出したのは、大魔導士から渡された魔道具。「心に思ったことを言葉にしてしまう」もの。
そして皇帝宮の夜会で――伯爵子息は皇太子の前で、自分の本音をすべて喋ってしまいました。
この作品は、「僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です」シリーズの外伝です。
リリアーナは、第1作目の第3部のおまけ、のお話にでてくる子爵令嬢です。
『ブスと結婚とか罰ゲーム』と言われた商人令嬢ですが、結婚式で婚約者の不正を暴いたら幼馴染の騎士様が味方でした
大棗ナツメ
恋愛
「なんで、お前みたいなブスと結婚しないといけないんだ」
そう言い放ったのは、結婚を一週間後に控えた婚約者だった。
商人の娘エフィは、持参金目当ての政略結婚を受け入れていたが、彼からは日常的に「ブス」「価値がない」と罵られていた。
そんなある日、エフィは父の商会の帳簿から男爵家の不審な金の流れを発見する。
さらに婚約者が娼婦と歩いているところを目撃し――
「泣く暇があるなら策を考えなさい」
昔、自分が言った言葉を思い出したエフィは決意する。
結婚式の日、すべてを暴くと。
そして再会したのは、かつて「姉さん」と慕ってくれた幼馴染の騎士レオンだった。
これは、ブスと蔑まれた商人令嬢が、
結婚式で運命をひっくり返す逆転劇。
「お前は妹の身代わりにすぎなかった」と捨てられた養女——でも領民が選んだのは、血の繋がらない姉の方だった
歩人
ファンタジー
孤児のフィーネは伯爵家に引き取られた。
病弱な令嬢エーデルの「代役」として。社交も、領地管理も、使用人の采配も——
全て「エーデル様」の名前で、完璧にこなしてきた。
十一年後。健康を取り戻したエーデルが屋敷に帰還した日、伯爵は言った。
「もう用済みだ、出ていけ」
フィーネは静かに屋敷を去った。
それから一月もしないうちに、領民たちが伯爵に詰め寄った。
「前のお嬢様を返してください」
(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!
青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。
図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです?
全5話。ゆるふわ。
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。
姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します
しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。
失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。
そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……!
悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。