地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第1章白銀の錬金術師の奮闘記

46男達のお茶会






一方その頃、王宮内の庭園で男達だけのお茶会が行われていた。


「シリル落ち着いたらどう?」

「はい?何のことでしょうか」

アルフレッドに言われるも自覚がない。
ハーブティーにミルクを入れていることに今気づいた。

「申し訳ありません!」

「少しは落ち着け」

「はい…」

ハイネにまで心配される始末だった。


「君が慌てても仕方ないだろ。姉上だっていきなり薫陶なんてしないよ」

「それは…しかしあの方は」

真っ青な表情をするシリル。
幼い頃に薫陶と言いながら散々な目に遭わされた。


社交界では完璧な王女。
別名氷の女王とも言われる程の人物だが、美しい見かけに反して中身はかなりぶっ飛んでいる。


「シャンデラ嬢は情緒不安定でしたし…そのビアンカ様に」

「分かるよ。普通の令嬢は失神するもんね?何度姉上に泣かされたか」

「権力に溺れた馬鹿は姉上に再起不能にされたからな。礼節を重んじず道を踏み外した者には情け容赦ない」


聞けば聞く程心配になるシリル。
ここ最近はようやくディアナも落ち着いてきたように見える。


「まぁロクサーヌ嬢のような前例も」

「毒薔薇姫であるロクサーヌと一緒にすべきではないでしょう」


あんまりな言い方であるが、ロクサーヌは美しく儚げな見た目に反して学園内で不正を犯した者を容赦なく追放に追い込み社交界からも追い出して来た。


女傑として恐れられ、秘密裏に王家の害となる人間を精神的に追い詰めているのだから。
ビアンカに唯一対抗できる令嬢がいるならばロクサーヌ以外いないだろう。


今のところは敵対しないが、万一ビアンカが道を踏み外せばあらゆる手段を使って継承権を奪うだろう。
それだけの責任感と誇りを持ち合わせているのだから。


「君が女性を苦手とする理由があの二人だからね」

「苦手というわけでは…」

「まぁディアナはお前を嫌ったりしないから心配するな」

「心配なんてしておりません。別に嫌われても…」

義務感で女性と関わることができるのに、ディアナに対してはどうにも感情的になることにシリルは頭を抱えていた。


それは他人だからではない。
嫌いならば捨て置けばいいし、ただの生徒会の人間なら最低限の付き合いでも良かった。


「ハイネ、お前はいいのか?」

「何がだ」

「サロンに同行しなくて」

「俺が行けばまた妙な噂が流れる」


今回はあくまで教師の推薦でサロンに招かれたということだ。
三人はサロンの出入りを許されているが、ディアナに同行することはできなかった。

同じサロンの中でも距離を保つ必要がある。


「姉の元婚約者の俺が一緒にいたら今度は何を言われる?」

「現在被害者の彼女が今度は加害者にされるね?しかも最悪なパターンで」


妹の婚約者を寝取った姉が、実は先に妹に婚約者を奪われたからの報復だとなればディアナが悪役になりファティマに同情が集まり立場が逆転する。


「しかも被害妄想の激しいあの女はここぞとばかりに彼女を悪人に仕立て上げるよね」

「ああ…」

「本当に姉かな?いくら何でも酷すぎるよ」


冷めた紅茶を飲みながらアルフレッドはどうしてあそこまで妹を傷つけられるのか。
自分が傷ついたから妹を傷つけていいことにはならない。


腹違いの姉妹でもあそこまで露骨ではないのに。



「もう、ディアナが悲しむ顔は見たくない」

「ハイネ…君」

「あの娘自身が変わらなくてはどうしようもありません」


苦しむハイネに対してシリルは言葉をかける。


「家族からの呪縛から逃れるためにも彼女が戦わなくては手の差し出しようもない」


歯がゆい思いを抱きながら三人は冷めた紅茶を飲みながら時間を過ごした。


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