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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
52必須アイテム
サロンから一週間後。
外は騒がしいがディアナの生活はそれ程影響がなかった。
何故ならミーハー丸出しなのは一般科の生徒だけで特別科では他人を噂したり、妬むならば己の研究に時間を費やすという考えが強い。
他人に夢中しすぎて自分の成績を落とせば本末転倒であるし、各科によっては少しでも成績を落とせば特別科から一般科に逆戻りになる。
最悪の場合即退学という厳しい沙汰が下る。
一般科からは特別科が特権を得ていると思われがちだが、その分リスクを背負っているのだから。
「ポーション100本問題ありません」
現在錬金術科の基礎授業にて。
制作されたポーションの検品をより正確により迅速に行う授業がされていた。
「いいでしょう。次」
「はい」
ベルトコンベアから運ばれるポーションを生徒たちが検品し、教師が時間を計るというものだ。
国内では現在粗悪品のポーションや出来損ないのポーションが冒険者に出回る事故が多発している為、効率的に検品できる目を養う為の授業でもある。
「錬金術士にとってポーション製作は基礎です」
「「「はい!」」」
「検品の腕もしっかり磨くように」
生徒達はひたすら検品作業に戻る。
かなり目が疲れ、立ち眩みをする生徒が増えている中、
ディアナは最速で検品を続けていた。
「早い!」
「すごいわ!」
瞬きすることも許さないと言わんばかりの速さだった。
「ちょっとディアナちゃん!もういいのよ!」
「ディアナ嬢!」
同じ専攻科目であるユーリとミカエルはあまりの気迫に止めようとするも、
「眼鏡?」
「ポーションはしっかり栓をしているので必要は」
普段授業に使う眼鏡と異なっている。
通常のメガネはもう少しレンズが薄いのだがディアナがつけている眼鏡は少し分厚く感じた。
デザインも見たことがない。
「ディアナちゃん、これ!」
「拡大眼鏡ですけど」
作業を終えたディアナが眼鏡を取り、見せるとユーリが口を開けたまま固まった。
隣にいるミカエルは興奮した手つきで眼鏡に触れる。
「なんて精巧な作りでしょう…それに厚みがあるのに軽い」
「使われます?」
「はい…わぁ!すごく見やすい。それに目が疲れない」
研究者にとって目は命だ。
特に長い間研究をしなくてはならない錬金術士は目を酷使するので、目が疲れやすい。
中には特別な光を目に当ててしまうので、失明にもなるリスクがあるのでディアナは前世で愛用していた眼鏡を作った。
(まぁ、ブルーライトカット眼鏡の応用だけど)
作業を効率化する為に作ったにすぎないのだけど…
「ディアナ嬢!すごいです…僕、こんな発明品初めてで。もしかして他にも」
「えーっと。目薬とか?」
愛用のポシェットから取り出したのは普段から必要になる薬の数々だった。
中には銀食器も入っている。
「何でこんなに薬が多い…いっ!」
「乙女の花園は秘密が多いのよ」
ユーリがミカエルの足を踏んでいながら微笑みを向けるがその目にはこれ以上何も言うなと言っていた。
「すっ…すいません!」
「いえ、いいんですよ」
ディアナは気にしないが、少し前に起きた毒殺未遂事件を思い出すユーリは痛ましいと思った。
常に薬と銀食器を持ち歩くということは予防なのだから。
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