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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
56動く女傑達
ロクサーヌの登場に周りはざわめく。
そこにいるだけで威圧感がある令嬢はとにかく目立つのだから。
「ユーリ」
「はっ…はい」
「彼女の婚約者に文句はお止めなさいな」
はっきりと止めるように言われ、ユーリは眉を顰める。
「部外者が口を挟むなと?」
「婚約関係が続いているならまだしも。王家は正式に彼との婚約を白紙にしました」
「え?」
公にはまだディアナとオルフェの婚約解消は公表されていない。
なので婚約者という形になるはずだった。
そもそも婚約を結ぶのも解消にするのも時間を要するのだから。
「王女殿下のご配慮です。優秀な彼女の時間をくだらない時間で費やすのは無駄だと」
「そっ…それは」
「一方的な婚約破棄。しかも学園内で婚約破棄の場を利用したとなればどうなるかしら?」
そこですべてに気づく。
既にオルフェは相当の罰を受けることになるのだと。
学園の名を汚した罪。
国王の許可なく勝手に婚約を破棄した罪。
社交界の風紀を乱した罪。
「他にも罪は沢山ありましてよ?慰謝料の請求もありますし」
「婚約破棄に姉との不貞行為に、例の暗殺未遂事件もあるからどれだけ支払うんだ?」
「…そんなの私にも分からないわよ!」
ロクサーヌの言葉にアリエスとユーリはヒソヒソ話す。
これだけ罪が重なっているのなら通常の婚約破棄の慰謝料は相当だ。
婚約破棄は一方の過失で慰謝料を請求されるが、名誉棄損である証拠が揃えば倍になる。
最悪なのは関係者も支払う義務が発生するのだから。
「場合によっては姉の方も支払い義務が発生するよな」
「家族間でもな…稀だが」
家族間の裁判とは非常に難しいがないわけでもない。
ただし、被害者側が家族に対する訴えを起こし、なおかつ家族としての縁が切れている状態を指す。
家族内で和解が成立すれば裁判どころか慰謝料の支払いはなくなるのだから。
「まぁ、家族の事は深く口出しできませんが…元婚約者様は被害者であるディアナ様直接に慰謝料を支払わなくてはなりません」
「ディアナちゃんにですか?」
「ええ、家族そろって不貞行為を促したのですからディアナ様に支払うのは当然です」
この場にいる男達は震えた。
ここまでの処置を講じたのは言うまでもなくビアンカだろう。
サロンでの一件でビアンカは大変ディアナを気に入っていると耳にしたシリルは同情はできないが、ディアナの家族に憐れみを感じた。
(終わったな…)
ウィステリアの女王を怒らせてしまったら待っているのは地獄だ。
「女性の名誉を傷つけてお金を払ってなかったことに…なーんて許されませんわ」
「「「(怖い!)」」」
絶対零度の冷気がカフェテリアを包み込んでいた。
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