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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
57旧校舎の秘密
同時刻、ディアナは人気のない場所にいた。
使われていない古びた温室のある場所にてある術式を試していた。
「汝の声に答えよ。契約の元アルティシアが命じる!」
魔方陣が銀色に光り、強い魔力が発動される。
地面に描かれた魔方陣が形状を変える中、真ん中に名前を書き換える。
「新たな名をディアナ!契約を書き換える!」
人差し指でディアナと書き、魔方陣の契約者の名前が変わる。
「ふぅー…」
光が止んだことを確認しながら安堵する。
「これで書き換え完了っと!」
一仕事終えたディアナは一息つく。
「前世の契約じゃ。使えない術も多いしね」
魔導書を抱きしめながら魔方陣を見る。
前世の記憶を取り戻してからディアナが困ったのは、錬金術の不具合だった。
契約の名前が違うと使えない術が多いのだ。
錬金術は魔力をあまり使わないが、それはあくまで初級錬金術士の場合だ。
高度な錬金術を使うには魔力を使い、魔術と合わせなくてはならない。
魔法と異なり理論をしっかり理解した上で使用するので魔力は多く必要ないがまったくゼロで使えるわけではない。
何より高度な錬金術とは魔結界魔法に匹敵するのだ。
その為に前世で契約した名前を現世の名前で使えないか試した所、可能だった。
ただし一度にすべて書き換えは不可能なので少しずつ行っていた。
「杖も馴染ませないと」
銀の杖に魔力を込めながら今日も改良を行う。
「ブヒィ!」
「あれ?ロシナンテ?」
人が来ない場所を選んだのに相棒は嗅ぎ当てて現れた。
「どうやってきたの?」
「ヒヒィン!」
当然かと言わんばかりの表情だった。
「やっぱり分かっちゃうのかな?馬は神聖なる生き物で逸話が多いから」
「ヒン!」
「まぁ、驢馬だけど」
膝にロシナンテを座らせ、魔導書をパラパラめくる。
「使える術も増えたな。うんうん…他の人には読めないけどね」
魔導士が持つグリモワールは基本、持ち主以外は使えない。
エルフが持つグリモワール等は生きた魔導書とされているので、持ち主以外が触れると魔導書が石になった前例もあるほどだ。
前世の記憶を思い出した時に体から飛び出たグリモワールと銀の杖。
この双方はディアナ以外に使えない特別な術式をしているのだ。
意思を持った魔導書と杖なのだから。
「早くすべて使えるようにしないと」
契約者の書き換えが変更できたので急ぐ必要がある。
「この国は魔法というものを誤解している。その誤解を早く解かないと」
「ブルッ!」
「魔法に依存し続けた末路は破滅しかないんだから」
文明の発展は魔法ではなく技術だった。
この世界は技術により発展を続け加速させなくてはならない。
魔法とは人間にとっては曖昧な存在で永遠ではない。
だからこそ永遠に続くものを持続させる必要があると前世で教えられてきた。
技術を持続させる。
それは今の生活を守ることにあり多くの人の生活を支える為でもある。
「錬金術は奇跡。小さな奇跡なんだから」
杖を握りながらディアナは小さな奇跡を生み出すために今日も奮闘した。
知らない所で色々な動きがあることも知らずに。
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