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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
60過保護集団
話し合いは終わり、学園長室を出ようと扉を開くとなぜか人がなだれ込んできた。
「「「わぁぁぁ!」」」
そのままドミノのように倒れる姿に学園長と教師達は頭を抱えた。
「何です!貴方達は!」
同行していた教頭が睨みつける。
マナーに厳しいことで有名なので当然ともいえるが…
「まぁ!シルクロードさんにシャトレ君!」
模範優等生とされる二人までいることに激怒する。
特にウィンリィは音楽科の期待の歌姫として評価されるのだからマナー違反をしたとなれば怒るのも当然だった。
「申し訳ありません」
「なんてことですの!」
「まぁ落ち着きなさい」
学園長が止めに入る。
マナー違反は問題であるが、らしくないと思いながらも友達を心配したとなれば別だった。
(愛されておるの…)
生徒を我が子のように愛する学園長は、マナー違反をしてまで友人を心配した二人に喜びを感じた。
(機械的なシルクロード家の娘がのぉ…)
音楽の祝福を受けし者として扱われてきたが、他人に必要以上の関心を持たず、音楽性も冷たさを放っていた。
天才肌ゆえに孤立していたと聞いている。
ユーリも同じだった。
絶対的な芸術センスを持つが、独特なセンスと女性的な所作が強く見られ周りから距離を置かれていた。
そんな二人がここまで感情的になるのは珍しかった。
年相応に見える二人を見て学園長は心から喜び、ディアナに視線を向けた。
「友人を心配したのだろう。その辺にしてあげなさい」
「…分かりました」
学園長に言われてしまえば文句は言えなかった。
厳重注意という形を取りその場は収められ、学園長室を後にする形になった。
「もう、驚いたわ」
「何があったのかと思って」
マリーとユーリが安堵した表情になる。
いきなり呼び出されて何かあったのかと不安だったと聞かされる。
「私は婚約破棄を破棄されたのかと思ってましたわ」
「ああ、何事もなくて良かった」
ウィンリィはルーズベルト伯爵夫妻を見て最悪の事態を想定したそうだ。
セフィーナは付き添いという形と言われたが、特別科に入る許可は誰が出したのかと思ったが…
「僕が許可を。生徒会庶務なら可能なんです」
「申し訳ありません。ミカエル様」
「ミカエル様だなんて止めてください。僕と貴女は同い年ですし…同じ生徒会の仲間じゃないですか」
「そうでしたね」
控えめのミカエルに改めて名前で呼んでほしいと言われミカエルと呼ぶようになるのだった。
「それでお話は?」
「マリー。少しはオブラートに」
「気になって魔道具を使って盗み聞きしようとしたのは誰よ」
「くっ…だって心配だったのよ」
(そんなことをしていたのねユーリ)
ユーリの意外な一面を知って驚くも、こんなのは序の口だった。
柱に揺れる空気を感じる。
「隠れていませんわよ?お三方」
冷たい視線を向けるウィンリィは風を使うと、結界魔術が消える。
「くっ…シルクロード嬢の魔力か」
「何がくっ…ですか。バレバレですわ」
シリルがショックを受ける中、後の二人も結界魔術から出て来た。
「殿下、ハイネ様まで」
「いやぁ、シリルが今にも奇襲をかける勢いで」
「言い出しっぺはお前だろう?アルフレッド」
「ははは!学園長室を燃やそうと目論んだお前に言われたくないよ」
二人の王子は互いに責任を擦り付け合っているのを見て一同はなんとも言えない気分になる。
学園では女子生徒からアイドル扱いを受けるのだが、これのどこに憧れを抱けというのかと思った。
「あの…副会長。ご心配していただきありがとうございます」
「別に心配などしていない」
「そうですか…」
少しがっかりするディアナはまるで落ち込む子猫のようだった。
「いや…少しはしたぞ。また理不尽な目に遭うんじゃないかと」
「副会長…」
「何だその目は!私は理不尽なことが嫌いなだけで!他意はない!」
シリルが少し心配したと聞き目を輝かせたディアナだったが、恥ずかしいのかあくまで自分の為だというのだから周りは更に呆れる。
「何あれ?今時流行らないわよ」
「マリー。青春よ」
「ダサいですわ。氷の貴公子」
「ああ、甲斐性なしだな」
「みっ…皆さん酷いです!副会長は…はがゆいお方なんです!あとはツンデレです!」
ミカエルは必死でシリルを庇おうと努力したが悪意のない言葉こそ一番達が悪く、絶対零度の冷気が包む。
「誰がツンデレだ!」
この後、一同はそろって生徒指導室に呼ばれたのは言うまでもない。
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