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第三章時を超えた想い!純白の絆が奇跡を生む!
46冷たくて暖かい手
静まり返る空間で顔をうつ向かせていたディアナにシリルはぎこちなく声をかけた。
「私はお前に怒鳴るか、叱るか、怒るかしていない」
「えっ?」
「私は今後もお前に対して変わらないかもしれない」
女性の扱いが下手と言えぞ、他人に対してならば、紳士的な振る舞いをできるだろう。
淑女の接し方かは叩き込まれていたが、ディアナに対しては感情が先に出てしまうのはそこに感情があったから。
最初からディアナに対して情を持って接していたからこそだと今なら分かる。
「私は幼い頃にお前と兄と出会っている」
「え?」
「覚えていないだろうが…私がまだ平民だった時だ」
もう十年以上の前の事だ。
ディアナが覚えていないのも当然だろう。
「あの時のお前はとにかく自由奔放だった…貴族令嬢とは思えぬ程だった」
「えっと…」
「だが、次に会った時のお前は変わり果てていた」
その時は既にディアナに自由がなかった頃だ。
ファティマがハイネと婚約した後で、ディアナの行動を制限し邸に軟禁に近い状況だった。
「私は愕然とした。人形になってしまったお前を…何をされても自分の意志を持たなくなったお前に怒りを感じた」
「あの…」
「だが、そんな感情は私の我が儘だ…勝手にお前に怒りを感じた。だが悲しかったんだ」
ゆっくりと心の内を明かしていく。
ディアナに初めてあった時、変わった少女だと思ったが嫌いではなかった。
むしろ逆の感情を持っていたはずだ。
だが、次にディアナに再会したときは変わり果て、自分の意見をはっきり言えず言われたことだけ従う人形に見えたのだから。
「勝手だろう」
「いえ…そんなこと!」
「そんな中、お前は自分の意志で動きだした。まるで隠された自我が再び戻ったかのように」
(違うんです!中の人間が違うんです!)
前世の記憶を取り戻したのである意味別人格が生まれたのだから当然だ。
別人というわけではない。
「だから私は、お前に行き過ぎた行為をしてしまった」
「副会長…」
「シリルで良い」
「えっ…」
「私はお前に名前で呼んでほしい」
一歩踏み出しディアナの手に触れる。
ひんやり心地よい冷たさを感じながらも距離が近くなる。
「手が傷だらけだ」
「あっ…申し訳ありません」
連日、調薬に錬金や鍛冶を行った手は傷だらけだった。
(奇麗な手じゃない…)
シリルの指先を見ると白くて奇麗な手だった。
「奇麗な手だ」
「そんなはずありません」
「いや、何人もの命を守った手だろ?」
「シリル様…」
そっと指先に触れられ、冷たいのに温かいと感じる。
思えばシリルは一見冷たく見えるが誰よりも温かい心を持っていた。
情に厚く、優しい人だと何度も知った。
「傷一つない手は何も知らない。知ろうともしない手だ」
「あっ…」
「私はこの手が好きだ。お前がどんなに苦しくとももがき苦しみながら戦う姿を愛おしいと思う」
離された手がディアナの頬にれた。
「ディアナ、お前に触れることを許してほしい」
「シリル様…」
「お前に触れることを唯一許される男になりたい」
常に冷静で氷のような瞳が燃えるような瞳でじっとディアナを見つめた。
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