地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第三章時を超えた想い!純白の絆が奇跡を生む!

58瘴気の中





真っ黒な空気の中、息もできない状態だった。


(苦しい)


息ができないだけでなく、全身が痛い。

闇落ちした風の精霊はディアナを見下ろし、攻撃を続ける。


『憎い…憎い!どうして!』

憎しみをぶつけているのに、誰よりも傷ついているように見える。


『どうして…何で!』


無数の針がディアナに襲い掛かるが、ふれたそれは直ぐに消えていく。


「これは、風の精霊の心の叫び」


自分を傷つける行為をする風の精霊は傷ついていた。



『どうして…何で私を捨てたの』


「えっ…」


『今まであんなにも尽くして来たのに。どうして私を裏切ったの』




目の前にいる風の精霊は血の涙を流した。


『ずっと、身を切るような思いをしながら言うことを聞いたのに!』

「うっ…」


瘴気の中に入り、体を差し出し会話を試みようとしたが自分の判断が甘かったことを知る。
闇落ちした風の精霊の負の感情は思った以上の酷かった。


『愛していたのに…始まりこそ無理やりだったけど』

「え?」

『契約者じゃなかった…私を無理やり契約したけど』



風の精霊の言葉に冷や汗を流す。
通常精霊との契約は双方共の合意が必要になる。
魔獣の場合は従魔契約が必要であるが精霊の場合は事情が異なる。


それは精霊側が契約を望む場合だ。


…なのに何故?と思ったが。


『奴隷印をつけられたけど…私はファティマを愛していたのに』


「奴隷…」


精霊を無理やり契約させようとする悪しき行為。
国の決められた法律で禁じられている行為をファティマがしたと知り目の前が真っ暗になる。



(嘘でしょ…そんなことを!)


幼少期に風の精霊に気に入られ祝福を受けたとしか聞いていなかった。
だが、今にしてみればおかしいと思った。



両親は魔力はない。
なのに四大精霊の内の一人、風の精霊と契約できたのだから。



それが、まさか…



「奴隷印をつけていたなんて!」


闇ギルドの中で違法的な方法で精霊を無理やり拘束して奴隷にする魔道具が存在すると言われている。



『なのに、ずっと魔力がないファティマに魔力を送っていたのに…身を削って、命を削って…なのに酷い!』


「どうして…」



何故こんな酷いことができたのだろうか。
風の精霊を欲しがったのはファティマであってもお膳立てしたのは両親ではないか。


それ程魔力が、欲しかったのか。
そうまでして力を欲して何がしたかったのか分からない。



ただ分かるのは、風の精霊は完全なる犠牲者であることだけだった。



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