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序章
6.見合い話
変わらない日常を過ごしながらも、着実にシナリオは進んで行く。
「エリーゼ、君に婚約の申し込みが来た」
「え?私に…ですか」
「ああ、お相手は第一王子のロベルト殿下だ」
我が国、エリシオン王国の第一王位継承権を持つ方だった。
「これ以上素晴らしいお話はないわ。本当に良かった」
「私としては、王室に入るのは悲しいのだがね…王室に入ったら会う機会は減ってしまう」
「旦那様、これ以上の縁談話はありませんわ」
お父様的には別に王室に嫁がせたいと言う気持ちはない。
通常貴族が、高位な身分の方に嫁ぐのは実家が困窮しているのが絶対条件だった。
我が家は困窮どころか王家を凌ぐほどの財力があり、お父様は外交官だったのだから。
「でも、本当に良うございましたわ」
「まぁ、これで…」
ひとまずは安心だと言う両親やランにハイネ達だったけど、背後で視線が突き刺さる。
「しかし旦那様、第一王子殿下の妃等身が重すぎるのではないでしょうか…失礼ながらエリーゼ様は魔力が」
「ちょっと…」
この場で口を挟むイズラは強者だと思うけど、マリアンヌの口も笑っている。
この状況で行けば私よりもマリアンヌの方が相応しいとでも言いたげだ。
「確かに魔力があるに越したことはないけど、でもね?王室に嫁ぐには魔力よりも重要視される物がある。その条件を誰よりも満たしているのがエリーゼなんだよ」
「お父様は私にその資格がないとおっしゃるの?酷いわ…」
「あ、そういうわけじゃないんだよ!私は…」
傷ついた表情で涙を浮かべるマリアンヌに私も困り果てるも。
「…チッ」
舌打ちが聞こえる。
いや、気の所為よね?
気の所為であって欲しいわ。
「後に迎える王太子妃の後見人と言う事でしょうか」
「エリーゼ…そうだよ。流石だよ」
「我が公爵家はどの派閥にも入っていないけれど、後に迎える王太子妃様を守る為にも身分もしっかりしており、尚且つ、体の丈夫な女性が望ましいわ。後は他所の令嬢と争いをしないこと」
成程、私は社交界では注目されていない。
それに能力も平凡だし、劣等感を抱く人もほとんどないのだから無暗に攻撃はしない。
されても噂を流される程度だ。
「けれど、公爵家が下に見られてしまうわ」
「大丈夫だよ。エリーゼは少しばかり遅咲きであるが、元老院の皆様の覚えもあるし、和を大事にするからね?争いが起きても仲裁できるんだから」
「人には得手不得手があるわ。エリーゼは確かにマリアンヌとは違うけど…良さはあるのだから」
ここまで買っててくれたのね、お母様。
「何時も怒ってばかりのお母様が…」
「怒らせているのは誰なの?貴女がもう少し、しっかりしてくれればお母様は怒りません!」
「これからこっそりやります」
「反省してないでしょう!」
やっぱりお母様は私を見放していなかったのね。
王子の婚約者なんて期間限定だから、それまでは精一杯努めよう。
そして円満な婚約解消をして、公爵家が没落しないように努めようと思う。
破滅フラグなんてすべて踏みつけてやるわ。
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