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第三章真実の聖女
9誑し一族
ティエルドの出現により再び噂が浮上した。
これまでメアリを一方的に悪者にしていた生徒はユーフィリアの信者や魔力絶対主義者が多かった。
その所為か新たな疑惑が浮上した。
第三者で噂に介入していない生徒は多かったが、争いに介入しなかったのだが。
メアリを良く思わない生徒の悪質な苛めである事が浮上したのだ。
その理由はメアリの父ティエルドが噂通りの素晴らしい騎士である事と、指導者としても優れている事だ。
「もっと踏み込みなさい。焦らなくて良い…戦場では焦りが禁物だ」
「はい!」
「君は筋が良い、剣術の技術も申し分ない。他の騎士よりも背が足りない部分をカバーできるだけの物を持っているんだ…もっと自信を持ちなさい」
「閣下…ですが」
「戦場で魔力は重要じゃない。長期戦で必要なのは魔力ではない…」
魔力が低い騎士にも持っているスキルで十分に活躍できるようにアドバイスして自信を持たせる。
まだまだ実力が不足している者や初陣で何の活躍もできずに自信喪失している騎士科の生徒の悩み相談もしていた。
「私の娘は君よりも魔力が低い…だが戦場で何度も生還している。何故か解るか」
「優れた治癒師だからですか?」
「いいや、君達のような騎士が守ってくれているからだ」
「え…」
治癒師は後方支援だが決して安全ではない。
黒騎士や白騎士のように魔力が強くない騎士達は後方支援の者を守る事も多い。
「君達の仕事は戦場で敵を討つだけが役割ではない。戦場で保護した民間人を守る事も大事な仕事だ…治癒師が死ねば、傷を治す者はいなくなる。君達はその治癒師をも守る役目を与えられているチェス駒ではルークだ」
「僕達が…」
「そうだ。その意味を忘れないで欲しい…騎士一人一人に無駄などない。聖騎士一人よりも君達三人の方が私は重宝するよ」
たいしたスキルの無い騎士科の生徒は見下される事も多かった。
それでも彼等は誇りを持っていた。
「魔力やスキルで君達の価値は決まらない。君達の価値を誰が決められようか」
「閣下ぁぁぁ!」
「一生ついて行きますぅぅぅ!」
こうしてティエルドは騎士科の生徒のほとんどを誑し込んでいた。
「何て恐ろしい男だ」
ソーマは遠い目をして見ていた。
彼等に対してティエルドは思惑はない。
腹黒であるが指導者として当然の事をしたと思っているが。
「一族揃って誑しか」
ティエルドも人誑しの自覚がなかったのだ。
その所為で騎士としても人としても優れているティエルドが非道な真似をするはずがない。
アークとユーフィリアに対して非難の目はその日の内に酷くなる保身的なクラスメイトは自分の身可愛さに距離を取り始めたのだった。
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