60 / 210
45厳しい言葉
しおりを挟む急遽婦人会の間で話し合いが行われ、今回の問題は学園側だけの問題だけでなく辺境貴族に対する悪意が感じられると事を強く追及されたそうだ。
夫人会会長のヒギンズ侯爵夫人。
あの方は女伯爵の地位を持ち、王族も一目置く存在だった。
「馬鹿だと思ったが彼女を敵に回すとは」
「お父様はお話をされたのですか」
「睨まれたよ、何をしていたのだと」
想像しただけでも恐ろしいわ。
私も直接会ったのは数回だけど、親しいわけではない。
お母様とは親しいようだけど。
「まぁ私が責められるのは当然だ。彼女は他人に厳しい。勿論自分にもだ」
「だからこそ、女伯爵の地位を賜ったのでしょう」
「ああ、王妃陛下が王太子妃時代には傍付き侍女兼護衛騎士をされていた」
普通は近衛騎士の役目だけど、近衛騎士も信用できなかったのだろう。
それだけ厳しい時代だったと聞かされている。
「今回の事も、私の判断が間違っていたのを指摘されたのでしょう」
「まぁ…それもあるが、あの方は本当にスパルタだからな」
たぶん、我が子であっても同じ状況下で甘やかすことはしないと思う。
「父上、リゼは被害者です。責めるのは間違いでしょう…その点を言えば殿下、貴方も妹にも非があると言ったそうですね」
「お兄様…」
「その場に監視の目があったにせよ。妹は身動きが取れないのにどういう了見ですか」
「酷いことを言ったことは認める。言い訳もしない」
「止めないかアルステッド」
お父様がお兄様を止める。
私もその程度の事なら傷ついたりしないわ。
だって当時の私は勝手に思い込んでいた。
差し出されていたはずの手をはじいたのは私自身で判断を間違えたのだから。
「リゼ、君が苦しんでいるのに何もできない俺が言う資格はないのは解っている」
「そんなこと…」
「聞いてくれ。君が周りに助けを求めなかったことを咎めたのは本心だ。君が大変な状態なのは解る…だが今後も同じような事態になる可能性はある」
そうだわ。
今回だけでなく今後も増えるかもしれない。
「その時に、常に君の味方が傍にいるとは限らないんだ」
「はい…」
「孤立してしまった時に君に媚びて来る人間が出てくるだろう」
弱っている時に隙をつかれやすくなる。
その時にどう対応できるか。
心が弱って利用されないか。
レオの言葉は最もだと思ったのだが。
「そうですか。ではとりあえず100発殴らせてください。そうしたら妹への暴言は無しにしましょう」
お兄様には通じなかった。
3,317
あなたにおすすめの小説
恋人が聖女のものになりました
キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」
聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。
それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。
聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。
多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。
ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……?
慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。
従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。
菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿します。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜
みおな
恋愛
公爵家令嬢のルーナ・フィオレンサは、輝く銀色の髪に、夜空に浮かぶ月のような金色を帯びた銀の瞳をした美しい少女だ。
当然のことながら王族との婚約が打診されるが、ルーナは首を縦に振らない。
どうやら彼女には、別に想い人がいるようで・・・
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります
みおな
恋愛
「灰色の魔女め!」
私を睨みつける婚約者に、心が絶望感で塗りつぶされていきます。
聖女である妹が自分には相応しい?なら、どうして婚約解消を申し込んでくださらなかったのですか?
私だってわかっています。妹の方が優れている。妹の方が愛らしい。
だから、そうおっしゃってくだされば、婚約者の座などいつでもおりましたのに。
こんな公衆の面前で婚約破棄をされた娘など、父もきっと切り捨てるでしょう。
私は誰にも愛されていないのだから。
なら、せめて、最後くらい自分のために舞台を飾りましょう。
灰色の魔女の死という、極上の舞台をー
はい!喜んで!
みおな
恋愛
伯爵令嬢のシリルは、婚約者から婚約破棄を告げられる。
時を同じくして、侯爵令嬢のリエルも、婚約者から婚約破棄を告げられる。
彼女たちはにっこりと微笑んで答えた。
「はい。喜んで」
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる