所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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閑話 侯爵家の悪あがき⑥

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男親とは時として盲目だった。
社交界で女性たちがどんな知恵を使い相手を潰そとする手段を理解していなかった。


当初、リオネルは多忙だった。
教会にて再婚をしない誓いをしたせいで、王命として無理なんだを押し付けられていた。

領地内の問題だけでなく長期で国を出ることも多かった。
そのタイミングが悪かったので、リーゼロッテと会う時間もあまりとれなかったのだ。


だからこそ僅かな休暇にリーゼロッテと過ごす時間を心待ちにしていたのだが‥


「申し訳ありません。お会いしたくないと」

「そうですか」

「それから、こちらを」

「これは…」


ようやく帰国したリオネルはリーゼロッテに合うべく寝る間の惜しんで仕事を終わらせ面会を取り付けたのだが拒否されたことに落胆した。


その表情にイグアスはニヤリと笑った。


(疲労困憊で、まともな判断はできないはずだわ)


疲れがたまり過ぎているリオネルにあと少しだと思い追い打ちをかけた。


「私も遠回しに言いましたのよ。父君はお忙しいと…ですが、最近は我儘が酷くて」

「そうですか」

「勿論、寂しいのは解りますが。いつまでも子供では…けれど、お会いしたくないとアグネスを連れて町に買い物に出ていますわ。散財しに…困ったものですわ」


これ見よがしにいい、リーゼロッテが我儘を言い、リオネルを避けていることを伝えた。


(これで気づくはずだわ)


イグアスの狙いはリーゼロッテとリオネルの親子関係を壊すことだ。
多忙な父にわがまま放題いう娘に愛想を尽かせばもうけものだと思ったのだ。


これで完璧だと思ったのだが…


「侯爵夫人、その店をお教えくださいませんか?」

「はい?」

「私も娘と買い物に行きたいのです」

「え…」


予想外の言葉に唖然とした。
何故なら、並べた言葉はすべて嘘で、買い物に行きたいと言い出したのはアグネスで、リーゼロッテは無理やり付き合わされただけなのだから。



「女の子は年頃になると男親を鬱陶しがると聞いています。ならば娘がどんなドレスが欲しいかこっそり見たいのです。今度オーダーメイドで絹のドレスをプレゼントしようかと思いまして」

「絹をですか」

「ええ、戦場で褒美をいただけたので絹のドレスを十着程新調しようかと」


今のご時世、絹のドレス数着で邸が立つ程の価格だ。
オーダーメイドとなるとどれ程の値段になるか。


「リオネル様…それは」

「領地はいりませんので、娘に似合うドレスを数着欲しいと願いだた所、王妃陛下より絹のドレスを贈ってやればよいと」



リオネルはイグアスの嘘に気づいたわけではない。


なのだが…


「ですがリーゼロッテ嬢は貴方を」

「どんなに嫌われようとも子を…娘を嫌う父親がいましょうか。私は娘に殺されても愛する自信があります」



父の愛は海よりも深かった。


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