所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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104孤独な夫人

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隣国からの情報はちょくちょく耳に入る。
何でもヒギンズ侯爵家が失脚したとのことで、社交界の秩序がガタガタだ。

これまで貴族は家柄重視の旧貴族、伯爵以上の家柄と実力と実績重視の新貴族、伯爵以下の二つが静かに争っていたが、新貴族が押されている状況だったのだけど。


ヒギンズ夫人を筆頭に辺境貴族の権威が揺るぎだしたのだ。
幸いにも我が家は中立側だったのでどちらにも属さなかったので打撃は少ない。


ただ、私が隣国に嫁いだことにより変な噂が流れていた。


「聞けば祖国を救うために隣国に嫁いだ等と噂が流れている」

「何ですそれ」


「同盟は白紙になり、貿易もできない状態だが、これ以上我が国を怒らせないためにと」


噂というのは当てにならない。
尾ひれがつけばとんでもないことになる。

今更にして思うわ。
噂の力って恐ろしいと思うわ。


「その噂を利用して君を国為に身を捧げた健気な令嬢が出来上がった」

「はぁ…」

「その代わりに。君の後任になった鬼夫人の息子は強制退学処分となった」

「強制退学!」


普通に考えてありえない。
初代学園長の教えにより子供から学ぶ場を取り上げることはご法度として、子供の最後のよりどころにすべきだとされ学園側からは退学を命じることは稀だ。



「学園内に混乱を招き、尚且つ監督責任者でありながら授業をさぼり夜の街で遊び歩き無断外泊を続けたそうだ」

「うわぁー‥‥」

「学園の名を汚したこともあり、学園長はヒギンズ家に賠償金を請求した後に強制退学を命じた。勿論卒業までの学費は返ってこないな」


「でしょうね」



ヒギンズ侯爵家は現在金銭的に厳しい状況だった。
カリスタ王国から領土の返還を求められていたことでこれまで制作していた特産物は取り上げになった。


それだけではなくカリスタ王国から派遣していた兵や武器などのもすべて返さなくてはならず、返せない場合はそれに見合うもの。


お金か、領地のどちらかを差し出さなくてはならなかった。
金銭的に苦しいので領地を差し押さえになり、数多の兵を失い騎士の家柄でもあるヒギンズ家は窮地に追いやられている。

その上ご子息が学園を追放されたのであれば最悪な状況だ。


「本来ならば援助を頼むところだが…」

「できないのでしょうね」


「ああ、人とはゲンキンで薄情な生き物だからな」



ヒギンズ夫人の周りには、利益があるから繋がっていた人が多い。
その逆を言えば地位を失えばその関係は消える。



「なんだか悲しいわね」

「そうだな」


あれだけ皆から慕われ、女性ながら勝ち組とまで言われていたのに。



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