159 / 210
124視察メンバー
しおりを挟むほとんど強引に押しきられる形になったが、今後のことを考えると私も外交になれるべきだと思った。
レオと結婚した後に厄介な連中が攻撃をしてくれるだろう。
王族と強い繋がりを持ちたい令嬢は多いだろうし、私自身ももっと地位を上げておく必要がある。
それに他国との交流はないよりもある方がいい。
なので引き受けない手はない。
そう思ったのだけど。
問題は、護衛や同行する者なのだけど。
「おい、何故この二人が」
「エラノーラ様」
護衛騎士に交渉人や商談になった場合の仲介人が必要だと言うのは解っている。
他国に行くときにも商人を装う必要がある。
極秘で向かうのだから当然と言えば当然だけど。
「何を言ってますの?旅には危険がつきものですわ。今現在我が国で最も腕が立つ騎士はどなたかしら?真剣を使わずに現役の親衛隊並びに近衛騎士をボコボコにしたのは」
「ボコボコ言うな!」
「事実ですわ。こんなみみっちいことを言わないでくださる?軟弱ですわね」
口で言っても勝てないと解っているはずなのに、レオは言わずにいれない。
「クスッ、ダメダメですね」
「ステラ…」
不敵に微笑むステラ。
だんだん貴族の笑い方ができるようになってきたわね。
「リゼ様、こう見えても旅慣れしてますので!」
ドンっと胸を叩きどや顔をするステラとその隣には輝かんばかりのお兄様の表情。
「お兄様に任せろ!敵は真っ赤に染めてあげるから」
「真っ赤に染める必要はありません!」
戦いに行くんじゃないのに。
外交に行くのに、このメンバーで大丈夫かしら?
「先方の女王陛下は気の良い方ですわ。言ってみれば女王陛下とミカエラ様を足したような…」
「最悪だろそれ…」
「甘いですわね。女性が君主になるにはそれぐらいの強さが必要ということになるのです」
言っている意味が正論で何も言えないわ。
確かに女性が君主を務めるにはお二人ぐらいの強さが必要になる。
「それに、このメンバーが一番身軽ですし。信頼できますの」ぐ
「エラノーラ、何時の間に交流を…」
「あら?優秀な人材は目を光らせてこそなんぼですわ。彼女にはゆくゆくは女官長ぐらいはなっていただきたいですわね」
「女官長…」
侍女とは異なり政治にも直接口出しし、王族の婚姻にも口出せる存在。
しかもこの国では女官となれば相応の地位が約束される。
「頭が痛い…」
レオの苦悩を察すると何も言えなかった。
けれど裏切ることがない。
最も信頼できるメンバーであることは確かだった。
1,152
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】
小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」
ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。
きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。
いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
【完結】真実の愛に気付いたと言われてしまったのですが
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済みです!!!】
かつて王国の誇りとされた名家の令嬢レティシア。王太子の婚約者として誰もが認める存在だった彼女は、ある日、突然の“婚約破棄”を言い渡される。
――理由は、「真実の愛に気づいてしまった」。
その一言と共に、王家との長年の絆は踏みにじられ、彼女の名誉は地に落ちる。だが、沈黙の奥底に宿っていたのは、誇り高き家の決意と、彼女自身の冷ややかな覚悟だった。
動揺する貴族たち、混乱する政権。やがて、ノーグレイブ家は“ある宣言”をもって王政と決別し、秩序と理念を掲げて、新たな自治の道を歩み出す。
一方、王宮では裏切りの余波が波紋を広げ、王太子は“責任”という言葉の意味と向き合わざるを得なくなる。崩れゆく信頼と、見限られる権威。
そして、動き出したノーグレイブ家の中心には、再び立ち上がったレティシアの姿があった。
※日常パートとシリアスパートを交互に挟む予定です。
婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私シーラは、伯爵令息レヴォクに婚約破棄を言い渡されてしまう。
レヴォクは私の妹ソフィーを好きになったみたいだけど、それは前から知っていた。
知っていて、許せなかったからこそ――私はこの日の為に準備していた。
私は婚約破棄を言い渡されてしまうけど、すぐに受け入れる。
そして――レヴォクの後悔が、始まろうとしていた。
[完結中編]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ@女性向け・児童文学・絵本
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる