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133勘当された男~マーカスside③
しおりを挟む「お前には愛想が尽きた」
この顔は本気だった。
氷のように冷たく、まるでゴミ屑を見るような目だった。
「身の程を知らぬ女だとリーゼロッテ嬢を口汚く罵倒したが‥その方に温情をかけられたというのに」
「何を!」
「何故お前が牢に入れられることも泣く、学園を追放だけで済んでいるのだ?相手は辺境伯爵令嬢だ…我が家は伯爵家にすぎん。名家中の名家に生まれた彼女と私とでは身分が違い過ぎる」
「そんなことはありません!」
辺境伯爵家なんて有事以外は不要だ。
戦時中ならそこそこ評価されただろうが、今は戦争はしていない。
「お前は本当に馬鹿だな。リオネル殿が本気になれば我が家を潰せるだろう。在学中にお前は不敬罪にも近い言葉を吐き続けたのだ。それでも子供同士の事だと…お前を咎めなかったのは慈悲だ」
「所詮は子供同士の喧嘩で、世間を知らぬ馬鹿な子供がしたことして処理してくれたのよ」
何が所詮子供だ。
この俺を馬鹿にしやがって!
あんな無能な団長が。
「その顔は何だ」
「父さんはあんな無能な男に何故礼を尽くすんです!後妻を迎えることなく、あの馬鹿な男は地位よりも妻や娘を選んだ!貴族ではない!まるで浅はかな平民のような考えを」
「…貴方。もう聞くに堪えません。すぐにこれをあの国に」
「ああ、顔を見るのも、言葉を交わすのも耐えられん」
母さんまでも俺を見下した表情をする。
何故だ。
俺は…
王太子殿下の側近まで上り詰めた男だぞ!
頼りない王太子殿下を支え、男尊女卑こそが正しい姿だと教えて来たんだ。
なのにこんな…
「失礼します」
「何をする!」
「これよりマーカス様を南の国に送るようにと…」
「南の国だと?」
「ええ、そちらで反省していただきます」
乱暴な仕打ちを受け宣告されたのは。
「奥様が援助をしている国、ハイビスカ王国でございます」
「暴動があった国じゃないか!」
十年前に愚王の政治により民が暴動を起こした。
元より建国前から存在した貴族が独立を勝ち取るべく行動を起こした後に王族を追い出したと聞く。
現在は貴族、平民の垣根を取り除いた政治が行われてると聞くが。
君主が女になったと聞く。
そんな国は早々に崩壊するだろう。
女が国を治めるなんて間違っている。
隣国も女王陛下が国治めているから、生意気な女が増えるんだ。
そんな場所に行けと?
「マーカス様にはそこで十年間奉公をしていただきます」
「なっ…」
「万一、更生が見込まれなければ無人島で一人で身一つで生活していただくことになります」
どっちにしても地獄ではないか!
行きたくない。
だが俺に拒否権はなくその後貨物船に放り込まれる形で南国、ハイビスカ王国に連行されてしまった。
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