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161謝罪
しおりを挟む女王陛下の配慮で重苦しい空気は軽減された。
とはいえ、私は何を話すべきか。
「この度は誠に申し訳ありません。謝っても許されません。火あぶり、ギロチンを受けても何も申せません」
「私たちもいかような裁きも受ける覚悟です」
「お待ちください!」
私はマナー違反であると解っていたけど立ち上がった。
何故そんな話になるのか。
「そもそも謝罪は必要ありません。ミレーヌ様から手紙をいただきましたし…学園でのことは私にも責任がありますわ」
「兄の暴走を止められなかった私に非が…」
「婚約者の愚行を見逃した私達も責任があります」
皆さんは元生徒会幹部の婚約者だそうだ。
私が学園を去った後は婚約破棄となり社交界でも色々言われたそうだ。
けれど、その逆境にも負けずに踏ん張ってこられたのは目を見ればわかる。
他国に逃げたも同然の私とは違うのだから。
「私がミレーヌ様達を責める資格はありません。何より兄君とは縁を切られているならば…」
「貴女は優しすぎたのです…」
優しいんじゃない。
弱すぎたのだ。
そして戦えなかったのだから。
その反対にミレーヌ様はずっと踏ん張ってこられたのではないだろうか。
だから私は謝罪は受け入れても彼女を罰することはしないし、その資格はない。
「謝罪はこの度を持って終わりにしましょう。大事なお話があると聞いております」
「はい」
謝罪だけならわざわざ彼女達がリスクを犯してまで来る必要はない。
でも、そうした理由があるはずだ。
「実は国では、王妃陛下を亡き者にする計画があります」
「なっ…」
「学園での騒動により、王妃陛下に反発していた勢力が衰えました…ですが、未だに諦めぬ者がおります」
「このタイミングでということは、何らかの方法で彼女を無理やり国に戻すということか」
「その通りですレグルス殿下」
レオの言葉に頷くミレーヌ様。
「呆れた…」
この期に及んでまだそんな馬鹿な真似を。
「既にあの男は使い物になりませんが、無理やりにでも貴女と関係を結ばせて貶めようと考えているのです」
「胸糞悪い話だが、リゼの功績、今の立場は利用できるからな」
隣でレオが心底嫌そうな顔をする。
「馬鹿な男達め…そんな暇があるなら他にすることがあるというのに」
女王陛下が嫌う代表的な男の考え方だわ。
私も虫唾が走るけど。
「今は情報のみですが、確実に動いています」
この情報を持ってくるために面会を望んだにしては容量が悪すぎるわ。
他に話があるのではないかしら?
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