君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

文字の大きさ
31 / 156
第一章

20待遇

しおりを挟む




宮付きとなったグレーテルの生活は一変した。
これまでの生活のように下働きや侍女に虐められることはなかった。

だけどかまど番を辞めたくないと訴えたら料理長が見守る範囲なら許可が出た。
アスランは厨房の仕事をさせたくないのだが、グレーテルの料理は食べたいので悩んだ末だ。


何より王宮の料理人がグレーテルを手放したくなかったので抗議の嵐だった。


「アスラン様は俺達から厨房の天使を奪うんですか」

「あんまりだ」

「そんな酷い方だったとは」


料理人の中には長年アスランと苦楽を共にした者だけでなく父親代わりになってくれた者もいるので押し切られてしまった。


「男所帯に置きたくないんだが」

「アスラン様、器が小さいですぞ」

「コロネ…」


料理長の言葉にカチンと来るが、何を言っても無駄だった。


「それにしてもあのアスラン様がねぇ?」

「私はてっきり男が好きなのかと」

「陛下の愛人という噂はやはりデマでしたか」


アスランは噂の出どころは何所だと思った。
こんな不名誉な噂を流すなんてどれだけ暇人なんだと。


「まったく我が弟ながら頭が痛い」

「姉上」

「それも全部見合いを断り、女性に興味がないから」

「ないわけではありません。生理的に受け付けない女性が多かったんです」


アスランは潔癖症とまではいかないが誰でもよいというわけではない。

「三年前に隣国の伯爵令嬢との見合いでは早々に逃げ出したな」

「あの娘は頭がおかしいのです。自分の我儘を通す為に…」

「まぁ確かに。泣けばなんでも思い通りになり。自分はお姫様だと言っていたが…あれが義妹になるのは避けたかった」

(隣国?伯爵令嬢?)


グレーテルはキョトンとする。
思い浮かべた令嬢がいたが、隣国で伯爵令嬢だけでは確定できない。

「何より香水臭くてかないません」

「文句ばかりではないか」

「私は浪費家と傲慢な女が嫌いです。民を粗末にする女は論外です」


根っからの騎士体質で、貴族至上主義な考えが嫌いなアスランは宮廷貴族の考えが受け入れられなかった。


「国王陛下の側近がそれでは後々困りますぞ」

「くっ…」

「まだまだ子供だということだな」


ダメ出しをされ続け、何も言えなくなりそっぽを向くしかなかった。


後にルクシアが王位を継いだ時はアスランが一番の側近になる。

その時に上手く立ち回らなくてはならないのだが…


「徐々に仕込んでもらえばいいだろう。妻に」

「えっ・・」

「すですな」


その役目を任される羽目になるグレーテルだった。





一方そのころ。


隣国では――。


「どうしてダメなの?私を愛してないの!」

「そうじゃないんだ」

とある邸で若い男女が口論を繰り返していた。


しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

婚約破棄をしておけば

あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

殿下、もう何もかも手遅れです

魚谷
恋愛
偉大なる国王が崩御した。 葬儀の場で、王太子アドルフォスは、父王が病床にいるのを良いことに国を思うがままにしようとする、婚約者である公爵令嬢ロザリンデと、その父である宰相を断罪しようと決意する。 全ては自分が次の王に相応しいことを、その場にいる全ての貴族たちに示すため。 アドルフォスは自分の勝利を信じて疑わなかった。 自分には、麗しい子爵令嬢で、数百年に一度生まれる聖女の力に覚醒したエレインという心強い味方がいるのだから。 勝利は揺るぎないはずだった……そう、アドルフォスの頭の中では。 これはひとつの国の終わりの物語。 ★他のサイトにも掲載しております ★13000字程度でサクッとお読み頂けます

婚約破棄されたので、戻らない選択をしました

ふわふわ
恋愛
王太子アルトゥールの婚約者として生きてきた 貴族令嬢ミディア・バイエルン。 だが、偽りの聖女シエナに心を奪われた王太子から、 彼女は一方的に婚約を破棄される。 「戻る場所は、もうありませんわ」 そう告げて向かった先は、 王都から遠く離れたアルツハイム辺境伯領。 権力も、評価も、比較もない土地で、 ミディアは“誰かに選ばれる人生”を静かに手放していく。 指示しない。 介入しない。 評価しない。 それでも、人は動き、街は回り、 日常は確かに続いていく。 一方、王都では―― 彼女を失った王太子と王政が、 少しずつ立ち行かなくなっていき……? 派手な復讐も、涙の和解もない。 あるのは、「戻らない」という選択と、 終わらせない日常だけ。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

処理中です...