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第一章
26真実の愛の果て
愛しいはずのフリーシアは変わってしまった。
最近は文句ばかり言って、声を荒げてはカーサを責める。
少し前までは何を犠牲にしても守ってやりたい。
頼りなげな幼馴染だと思っていたのに愛しいと思う感情は消えていた。
(どうして変わってしまったんだ)
幼い頃から守ってあげたい存在で、何があっても優先して来た。
伯爵令嬢でありながら威張ることなくカーサを弱弱しく頼る姿は保護欲を掻き立てた。
婚約者だったグレーテルは自立していてカーサに頼ることはなかった。
何でも自分でできるので可愛げがないと思う一方で、カーサはグレーテルに対して婚約者として接したことはない。
優しく手を引くことも、愛を囁くことも。
気遣いもなく、いずれ夫婦になった後にどちらが上か解らせるべきだと思っていた。
だから当初は少し上から目線でもグレーテルは従った。
カーサは自身がクロレンス家の恩人だと思っていた所為もあるのだが、何も知らなかった。
クロレンス家の支援がどれだけ大事か。
何も言わずにずっと支えてくれていたグレーテルの思いも知らずにいた。
その所為で婚約破棄をしてすぐにほころびが生じたのだ。
私生活では勿論の事だが、これまで当たり前のようにあったコネクションは失われた。
社交界ではコネクションが物を言う。
高位貴族との渡りに、王家と通じる商人や他国の貴族とどれだけ交流しているか。
そして次に問題なのがお茶会だ。
お茶会はいわば社交場でもっとも情報を得る場所だ。
笑顔でお茶を飲む傍らで腹の探り合いをする。
入手した情報は今後の流行だったり他国の貿易に世界情勢だったりと多くの情報が得られる。
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高位貴族の機嫌を損なわせないように良い気分にさせる手腕を得ることも必要で、目立たないようにグレーテルは情報を入手し、できるだけ低姿勢にしていた。
出る杭は打たれるとはよく言ったものだが、目立ちすぎると標的にされるのだ。
その絶妙なフォロー役を失ったカーサは社交界で孤立していたのだ。
「カーサ!聞いているの」
「悪いが出かけてくる」
「カーサ!」
頭が痛くなる声から逃げるように邸を出ていく。
「出かける」
「承知しました」
今すぐここから離れたい。
そんな思いで邸を出たのだった。
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