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第一章
116糾弾返し
この場の空気は一気に変わった。
貴族派達が集中的に責められる状態になったのだ。
ワインをかけられた令嬢とその婚約者が発言したことをきっかけに参加していた他の貴族達が揃って口を開いた。
「そうですわ」
「先ほどからグレーテル様は何もおっしゃらなかったわ」
「悪口を言われても微笑むばかり」
特に婚約者のいる令嬢達は責めるように告げた。
「それは後ろめたいからでしょう?」
おどおどしながらも自分は悪くないと言うが、既に虚勢をはる余力などなかった。
意地を張っているだけだったのだ。
「逆でしょう」
「は?」
「後ろめたいことがないから堂々としている、自分の行動に信念のある者は堂々としているものだわ」
「そうだ。貴女は自分に自信がないのでは?」
思えばグレーテルは、この場に来ても一度も顔を俯かせていなかった。
常に微笑みを浮かべながら堂々としていた。
「私が自身がない?」
「だってそうでしょう?わざと嫌味を言って糾弾しようとしていたもの」
「静観していた俺達が言える立場ではないが、社交界の暗黙のルールを知らないとは言うまい」
社交界の暗黙のルールと言われてハッとする。
「常に感情を表に出さずに冷静に…彼女は冷静でした」
「くっ…」
「それに、婚約破棄をして後に新たな婚約をするのに問題はありまして?」
「でも完全に切れたわけでは…それに平民の男と婚約だなんて!」
どうしても身分差別をしたがるような発言が目立つ。
グレーテルは面倒だと考えだした。
こういう輩は何を言っても気聞き耳を持たない。
だが、言わずにいれなかった。
「彼はアクアシア王国の国王陛下の直臣です。私の身辺調査もしっかりしていただきましたわ。それとも貴女は国王陛下をも侮辱なさるのですか?」
「そっ…そんなこと言ってないでしょう」
「実際言っていることは我が国と陛下への侮辱だろう。同盟をぶち壊したいと言っているようなものだ…ならば後日貴女の父君に伝えようか」
「そんな…」
もしここで父親に報告が行けばどうなるか解らない。
新たな婚約話がこなくなっているので父親から常に冷たい目で見られているのに国同士の外交問題を起こしたとなるとどうなるか解らない。
「ひっ…どうかお許しを」
「謝る必要はない。包み隠さず話そう。この場にいる方々が同盟に反対しているとな」
「は?」
「何で私達まで!」
自分達は関係ないという顔をしていたが、何をしたか理解したのだった。
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