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13婚約者~レオナルドside④
途中編入して来た私と少し遅れて交換留学生として入ったリネットはある意味で浮いていた。
何時も一人で本を読んで、研究をする。
社交的とは言い難く、一部では根暗だと言われていた。
彼女と初めて出会ったのは図書館だった。
「本を浮かせる魔術…あう!」
「法則が違う」
フワフワと本を浮かせるも浮かせたまま本が手元に戻らず困り果てているのを見て風魔法で本を手渡す。
そこでまずいと思った。
王都でも魔法を使うと距離を置かれていた。
ここでも魔法をひけらかす行為は控えていた。
なのだが…
「わぁぁ!風の魔術だ!」
「え?」
「竜巻でビュンとした!すごい便利そう」
「便利…」
魔術を便利だと言われたのは初めてだった。
人は自分と違うものを恐れ恐怖する。
魔術の形状が異なり、特に風は毛嫌いされていた。
なのに…
「他にも使えませんか!落ち葉を一瞬で集めたりとか!」
「何で全部そんなのを…」
「だってその方が便利で楽しいです!」
楽しいか。
そんな風に考えたことがなかった。
「君、魔術が好きか」
「はい!魔術は幸せの結晶です!」
目を輝かせながら話す彼女を見て久しぶりに人の顔を見て話しをした気がした。
他の女子生徒とは異なり化粧はしていない。
服装だってヨレヨレで、装飾品もほとんどない。
地方と言えど貴族が通う学校の生徒なら貴族令嬢だろう。
「あ!こんな格好でごめんなさい…明け方まで魔物討伐に同行していて」
「は?」
「父が辺境地の魔術師で…結界師なんです」
――結界師。
その名の通り、魔術師の中で結界魔法を編み出す。
「では君は白魔術師の?」
「はい。世界一最弱な魔導士の子孫です!」
明るく言う事じゃない。
なのにどうして笑っていられるんだ?
良く見ると膝にも怪我をしている。
袖は汚れている。
もしかして嫌がらせを受けているのか?
「君は虐められているのか?」
「いえ、私達は嫌われ一族ですから」
笑いながらも悲しんでいる笑顔。
けれど卑屈ではないようにも感じた私は理解できなかった。
「何故だ」
「こんなことしかできないから」
花壇の方に手をかざすと光が集まり枯れている花が瑞々しくなる。
「私の魔力は守りと癒し…戦いには向かないんです」
魔術師の花形は強い攻撃魔法が重宝されている。
しかも見た目派手な方がかっこいいと言う子供もいる。
対して歴史の長い魔法。
結界と治癒の魔法は重宝されなくなった。
精霊を召喚すれば事足りる。
回復魔法は万能ではなく傷を治せても病気な治せない。
そう考える人間が多くなり、現在では無能な魔術師というレッテルを貼られていた。
「貴方のように強い女神様の加護があれば違ったんでしょうけど」
「は?」
私が女神の加護を持つことは一部しか知らない。
王族でも限られた人間しかしらないはずだ。
「何故知っている」
「だって見えるんです。魔法陣に女神の紋章が浮かんでいるんです。ほら」
指を鳴らすと足元に魔法陣が浮かんだ。
「すごくかっこいい紋章ですよね」
「君は…鑑定スキルもあるのか?」
「強い女神様の加護を持っている人なら見えます」
ありえない。
王都の鑑定士でもここまで見えるのか?
「あっ…これ秘密だったんだ」
「いいのか」
「だから共犯ということでお願いします!」
なんとも調子の狂う。
だが嫌じゃないと思った。
人の顔を見るのが怖かった。
悪意に満ちた目を見るのが恐ろしった。
だけど――。
「リネット・フェリーチェです!」
「レオ・スペイシーだ」
この出会いが私にとって幸福なものになるのだった。
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