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14婚約者~レオナルドside⑤
「うわぁぁん!レオ!」
泣きながら鼻水を出して飛び込んでくる姿は貴族令嬢ではない。
もはや女の子としても問題がある。
「頭に…くっついちゃったよぉ!」
「まず初めに聞く。何で頭に教頭先生のヅラが…」
「新しいくっく魔法を考えたら失敗して」
「…また変な魔法を」
リネットは奇抜な発想に関しては天才的だった。
発想力が独創的で、新しい魔法を考え色々試していた。
とはいっても生活に便利になる薬。
現在は毛生え薬の研究をしていたようだが、何を間違えて教頭先生のヅラがくっついたんだ。
「教頭先生のヅラだから燃やせない」
「燃やすんじゃない!」
髪は女性の命だろうが。
「そうだ。丸坊主にして実験を…」
「止めろ!」
こんなやり取りをするようになった。
自分の体で実験をするのだけは止めて欲しいのだが…
「実験成功したら、妹さんの髪の毛も生やせるようにするからね」
「リネット…」
エリザベートの事はそれとなく伝えている。
強い加護の所為で体を蝕まれ、ポーションを飲んだが後遺症で髪が抜け落ちている状態だ。
「そうだ。譲渡魔法を使えれば…」
「ダメだ!」
譲渡魔法。
それは他者に魔力を渡す魔法で上級魔法だ。
だが未だにちゃんとした法則もない。
これまで成功した試しがない。
「でも私…魔力は多いんだよね。タンクが多いし」
「だからって…」
「攻撃魔法使えないし。喜ぶと思ったのに…」
拗ねてしゃがみ込んでのの字を書くリネットに頭が痛かった。
「髪の毛を少しあげるだけなんだよ?トカゲのしっぽ切るみたいだし」
「もう少し他に表現はないのか」
すべて善意だった。
エリザベートへの優しさだけの行為だった。
気持ちだけでも十分だった。
だが、日に日に加護の所為で体が弱っている。
何故なんだ。
学園に入ってから私は加護の影響で体調が悪くなったりしない。
むしろ体調は良くなっていた。
「はぁー…お腹すいた」
「昼か」
ただ一つ、味覚障害だけは未だに変わらずだが。
「レオ…今日も食べないの?」
「ああ」
私の食事はポーションだけだ。
味が分からず気持ち悪くて仕方ない。
「でも、このままじゃチャポンチャポンになる…水になるよ」
「もう少し違う言い方をしてくれ」
私だってこんな生活は嫌だ。
味が分からないだけじゃないんだ。
体だけでなく心が受けつけないんだ。
「レオ」
「何…むぐぅ!」
「どう?美味しい?」
私の話を聞いていたか?
ポーションしか受けつけないと言っていたのに。
「ミルクならいけるじゃん!」
「うっ…んぐ」
喉に入っていく。
どうして――?
「飲んだ?」
「何で…」
「やったね!」
今まで味がしなかった。
お茶もスープも遺物を口に入れるだけだったのに何をしたんだ?
「何を…」
「結界敷いた」
「は?」
「正確にはレオの体の一部ね?ちょこっと結界」
体の一部に結界を敷くなんて聞いたことがない。
「体の一部に結界を敷くのは医術と同じなんだよ」
そんなあっさりと…
「今度からちょこっと結界を敷いて食べれる様にしようと」
そんな簡単な話ではないと思ったが、それ以降私は彼女のちょこっと結界のおかげで味が分かるようになったのだった。
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