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16婚約者~レオナルドside⑦
冷静さを無くした私は背後の気配に気づけなかった。
目の前に迫るワイバーン。
風魔法を詠唱する時間もなく、成すすべもない。
すべてを諦めた時だった。
「ギャシャァァア!」
ワインバーの悲鳴だけが響いた。
「あれは…白い扉?」
強力な扉が開きワインバーはその中に吸い込まれる。
「これは空間魔法」
本で読んだことがある。
結界魔法の中には空間魔法が存在し魔物を空間に封じることができると。
古の時代に封印された魔法で、完全に滅するのではなく元にいた場所に帰すというものだ。
「レオ!妹さんの所に行こう」
「リネット…」
「病気の妹さんが心配なんでしょ?レオの風魔法と私の空間魔法を使えば早く行けるよ!」
私とリネット考えた合体魔法。
魔法とは数学と同じで法則を理解した後に使う者。
なんとなくでは使えない。
特に結界魔法や空中魔法は原理を理解する必要がある。
「私、何もできないかもだけど…でもレオの盾ぐらいにはなれるよ!だって頑丈だし」
「盾になんてするわけないだろ」
「でも、結界魔法あるから他の人より死亡率は少ないよ!」
泣きたくなった。
思えばリネットは何時も私の心の悲鳴に築いてくれた。
言葉に出せない私の心の声に気づいてくれた。
だから…
「一緒に来てくれないか…怖いんだ」
何が起きているか分からない状況で私は何もできない。
アリテナは私達に苦しみだけを与えて何もしてくれないし聖女様も信じていない。
もし聖女様が救世主ならば私の聖女はリネットだろう。
私の心の闇を明るく照らす光なのだから。
空中魔法で邸に向かうと黒い霧が立ち込めていた。
地面が割れて、雷が落ちている。
「何でこんなことに…」
「恐らくこの地に瘴気が溢れたことで妹の加護にも影響が出ているんだ。加護で妹は体を蝕まれていた」
「恵みと災いは紙一重」
「え?」
「お父さんが言っていたわ」
大きすぎる力は身を滅ぼす。
まさにそうだ。
人は対価無しに何かを得ることはできない。
「でも、その神様の祝福は人間に害を成すのかな?」
「え?」
「より強い神様の祝福は人間への愛だから…妹さんが受け入れきれてないんじゃないかな」
エリザベートが女神の加護を拒否しているが為に互いの力が反発して体に影響を及ぼしている?
「確信はないんだけど…じゃないと加護はただの毒だよ」
一方通行の加護でエリザベートが受け入れられないから?
「なんか片思いの相手に押せ押せしてるみたい…ちゃんと相手の気持ち考えないと」
「言っている意味は理解できるが…どうしたら」
相手は女神だ。
こちらから会話をするなんて無理だ。
「だったら結界で遮断したらいい」
「そしてもう一つの加護で女神の加護に干渉すればいいわ」
頭の中から声が聞こえると同時に魔法陣が描かれる。
「これは転移魔法!」
緊急時だと言うのに私は初めて転移魔法を初めて見たことに興奮していた。
「お父さん、お母さん」
「は?」
転移魔法から現れたのは二人の男女だった。
「娘よ。また変な事に巻き込まれているな」
「まったく、急いで駆けつけてみればまた加護が暴走とは」
白魔導士の紋章であるエンブレムが飾られていた。
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