乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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17婚約者~レオナルドside⑧






魔術師のローブは基本は黒だった。
しかし白魔導士だけは白いローブを身にまとっている。


ローブ自身が防除魔法となっている。


その昔、初代白魔導士が義務付けたのは黒魔導士は黒いローブ、白魔導士は白いローブとした。


二人の魔導士はそれぞれ役割がある。


強い攻撃魔術で敵を滅するは黒魔術。
その反対に治癒と結界で守りに徹底するのが白魔術。


だけど私は知らない。


詠唱もなく、これほどの強大な魔術を。


小さな結界が張り巡らされる。


「術式は理解しているな」

「私達で抑え込むわ!リネットは加護を受ける方を!」

「はい!」



一体何をしようというのだ!


「待ってください!何を…」


「貴方様はここから先は入ってはなりません」

「入れば女神の干渉を受けます」


「なら!」


どうしてリネットにだけいかせるんだ。
女神の干渉を受けたら無事で済むはずがない。


「下手をすれば肉体と魂が引き離されるでしょう」


「貴方達はご自分の娘に!」

「下手したらです」

「は?」


何を言っているんだ。
どうしてそんな顔をしていられるんだ。


「貴方!結界を外から張り直しましょう」

「ああ…」


リネットがそのまま邸の方に突っ込んでいく。


エリザベートの部屋の方から強い光が放たれる。
地面に螺旋が雷が空に向かって上がっていく。


「加護は受ける側が拒絶すれば呪いと同じです」

「女神の加護を拒絶し続ければ風前に水を淹れ続けるようなもの。いずれ破裂します」


「どうしたら…」


「女神の加護を受け入れてもらえるようすればいいのです」


女神と会話なんてできるはずがない。
どうやってエリザベートに受け入れさせるんだ。


「他人の心の中に語り掛ける。それこそが我ら白魔導士の末裔の能力。私達は癒しの一族です」


「医者みたいなもんですから」


「しかし失敗したら…」

「我らも木っ端みじんですね」


この人、さらりと恐ろしいことを言ったぞ。

「本来ならベルシュタイン家のご子息には避難いただきたいのですが」

「は?」

私の正体に気づいている?
二人は何者だ?


「今はご息女のエリザベート様を最優先にすべきですわ」

「ああ、分かっている。リネットに託すしかない」


二人は何故平気だと思ったのだろうか。
杖を握る手から血が出ていた。

爪が食い込む程強く握りしめている手が震えていた。


私はなんて酷いことを。


「諦めてはなりません」

「え?」

「戦場でも私達は諦めることは許されません。怪我を治療する我らが諦めたら誰が救うのか…そう教わってまいりました」


「心で負けてはならぬのです」



少なくとも彼らはリネットを信じ、こんな状況下でもまったく絶望していない。


それは虚勢ではなかった。

信じているんだ…




「貴方!」


「ああ、光が…」


空気が代わって行くのを感じた。
さっきまで荒々しかったのにまるで嵐が止んだように風が優しくなる。



「リネットは無事のようですわね」

「ああ…邸は無事ではないが」



邸が壊れても直せばいい。
何より心配なのは二人の安否だ。



無事を確認するまで安心できなかったが…



「レオ!妹さんは無事だよ!」


両手を振っているリネットと隣で眠っているエリザベート。


二人とも無事だったことに心から安堵した。


「妹さん、ずっと怖かったんだって…大きな加護が」

「そうなのか?」

「うん。女神様の加護が重すぎたんだよ。一方通行の愛は重たくて胃もたれするしね」


いや、食べ過ぎて胃もたれするのとは違うのだが…


「無事でよかった…リネット!」


傍に行くと聞き手は負傷し、髪の毛無残なことに。


杖も粉々になっていた。



魔術師にとって、特に結界師や治癒師にとっては杖は命だ。

なのにそれを失うことは魔力の大半を失う行為だ。


私はエリザベートの命と引き換えにリネットから魔術師としての未来を奪わせてしまった事に後悔をした。





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