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20回復力
療養生活一週間。
正直ダメ人間になりかけ寸前だった。
「さぁ、リネット」
「いや…あの」
私の世話をすると宣言してから一週間。
本当につきっきりで私の世話を焼いているのだけど。
「もう傷は大丈夫なんですけど」
「まだ安静だ」
「既に傷は塞がっているんで」
悲観していた私だが、恐ろしい程傷が完治するのが早かった。
通常ならあの怪我なら寝たきりの生活が待っているか、辛いリハビリをしても麻痺が残ると思うのだけど。
通常、治癒師は他人の傷を治癒することはできても自分の傷を治癒することができない。
かくいう私もそうだ。
なのだけど、他の人よりも体が頑丈だった。
後から医師に聞くと言われたのが。
「よくこの程度で済みましたね」
「はい?」
「聞けばスキルで骨を砕かれ、あの高さで叩きつけられたら失明してもおかしくありません」
「嘘…」
二週間も意識不明だった私だけど、無意識に魔術を発動していたと聞かされる。
「リネット様は結界魔術が国一番ですので…何よりポーションの過剰摂取をしていないこともあります」
――回復薬は優劣はあれど負傷した時は回復できる。
魔力が足りない時も補強できるけど、研究の中で過剰摂取は人間の持つ治癒能力を失わせる。
薬の過剰摂取のようなもの。
飲み続ければ効果が薄れていくし、最悪依存症を患う。
「しかし不思議です」
「はい?」
「リネット様は加護があるわけではないというのに…貴方様から強い魔力を感じます」
「私に?」
かつては魔力だけはかなりあった。
けれど、十年前に大幅な魔力を失ってしまった。
そんな私に魔力?
「攻撃がまったくできないし。精霊の使役もないのに」
「そこが不思議なのです。無意識に防御魔術を発動するなんて聞いたことがない」
通常魔法や魔術は詠唱無しに発動は無理困難だ。
過去には大魔導士が無詠唱で魔術を使ったことはあると伝えられているが真実かどうかも分からない。
「未だに解明できていない魔術も多いですからね」
「はい…」
「ですが、無事に目覚められて本当に良かった」
「先生?」
私の手を握りながら医師の先生にしみじみ言われる。
「レオナルド様の最愛の奥様ですから」
「へ?」
最愛って何?
「この二週間、ベルシュタイン家はお葬式状態でした。特にあのレオ坊ちゃんが」
レオナルド様を坊ちゃん呼びなんて何者だ。
この先生は…
「ですが体の状態も安心です。子を身ごもれますよ」
セクハラか!
このエロ爺が!
前世ならセクハラで訴えられたのに!
その後もニヤニヤして親指を突き上げられ、内心ではその親指を曲げてやろうかと思ってしまった。
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