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26侍女の敬愛~メープルside①
私の実家は北の最果て。
貧しい貴族の娘として生まれ、中央から見捨てられた領地と言われていた。
国にとって優先は中央。
その為王族の視察に辺境の地に足を運ばれることもなければ、魔物の襲撃を受けても救援、救助に来ることもない。
兵の派遣もない。
魔物が現れれば、領地に住まう者が自身で戦わなくてはならない。
けれど魔力のない者が魔物にできるはずもない。
装備だってない。
領地で獲れた小麦粉だって中央に奪われ私達は理不尽に耐えるかなかった。
そんな折、最悪な事態が起きたのだ。
他所の領地で貴族達が召喚術を使った事で、封印されていた邪竜が目を覚ましてしまった。
邪竜は他種族の干渉を毛嫌いする。
召喚術を使った貴族はちゃんとした知識もなく遊び感覚だったそうだ。
その所為で我が領地が攻撃されても彼らは、自分の領地は自分で守れと理不尽な事を言ったのだ。
ただでさえ疲弊している兵。
貧しい生活を強いられている民に、抗う術もなかった。
領地はもう終わりだ。
全滅だと思った私達に救世主が現れた。
白いローブを被った魔女が現れ、邪竜から私達を守ってくださった。
「あれは白の魔導士様…」
「白い魔女様だ!」
複数の魔法陣が領地に浮かび、領民すべてを守り邪竜の動きを止めた。
殺さずに結界に閉じ込め眠らせたことで邪竜は再び封印された。
死傷者はでなかった。
重傷者はいたものの、白の魔導士様が治癒魔術を使い救ってくださったのだ。
何も言わずに。
名前も名乗ることなくただ結界を敷き、治癒魔術を施して。
「お礼の一つも言えなかったな」
「お父様。あの方は…」
「白の魔導士様だ」
この世には2種類の魔導士が存在する。
攻撃を得意とする魔法使いが生み出した黒の魔導士。
結界と治癒だけに特化し、魔術を世に轟かせた白の魔導士。
魔法は才能。
魔術は技術とされている。
「最弱の魔導士と言われる一族だ」
「どうして…」
「彼らは攻撃魔術が使えないからだ」
相手を殺すことができない魔導士一族。
守りと癒しだけしか持たないことから冷遇されると聞かされた。
けれど、彼らがいなければ私達はどうなった?
国から見捨てられ、他の領地から生贄にされた私達を見返りを求めることなく助けてくださったのはあの方だ。
「この恩を忘れてはならない…メープル」
「はい」
忘れない。
このご恩は絶対に。
その後、我が領地に種が届けられた。
花の種で、結界の効果があると聞かされ私達は大事に育てると、美しい百合の花が咲いた。
その花が咲いてから魔物の襲撃を受けることはなかった。
「守ってくださっているんだ。白の魔導士様が」
「はい」
「私達にできる恩返しは作物を育てて、いずれお会いした時に精いっぱいの感謝を伝えることだ」
父に言われた言葉を噛みしめながら私は白い魔女様にお会いできる日を夢見て来た。
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