乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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30贈り物







王都内で事故が増え続ける中、私は平和な日々を送っていた。
怪我も完全に完治して、一人で歩くことも問題なかった私は暇を持て余し、読書に研究にやりたい放題だった。



元より魔力は多く、攻撃魔法が使えない私は癒しと防御に特化していた。
その特性を使って付与魔法を使えないか考えた末に、ある物を作り始めたのだけど。


「ありがとうリネット。大切にする」

「はい」


激務を終えて邸に戻ってこられたレオナルド様に贈り物をした。


公爵家の嫡男として、第一王子殿下の側近としても多忙で危険な事も多いのでタイピンを作った。
社交界では男性もアクセサリーに拘るのだけど、あいにく宝石を用意できるほどの財を持ち合わせていないのでイミテーションであるが。


「シンプルだが、とても繊細な作りだ」


「ありがとうございます」


渡してから少し不安になった。
ベルシュタイン家は王族以上の財を持ち外交も活発にしている。


故に他国の王家と会食することも少なくないので、装飾品も拘っている。
シシィ様が普段使いにされてる髪飾りやブローチ等も一級品で領地一つ買える程の高価な品だ。


やっぱりまずくないか?
私の手作りなんて月とスッポンで…


「最近外は物騒と思ったのですが…やはり装飾品は職人の方に」

「これがいい」

「え?」


不安になった私は差し出したそれを戻そうとしたが、その手を取られた。


「こうなってはお兄様は引き下がりませんわ。なんせ十年前にお姉様にいただいたハンカチも未だに大事に部屋に飾ってますものねぇ?」


「エリザベート!」


「ハンカチとは飾るのではなくてよ」


とんでもない真実が暴露された。
ハンカチってあれか?


昔私が付与魔法授業で作ったものを少し手を加えたのだ。

当初の私は貴族社会では贈り物に手作りの品を送るのは無礼であることを知らなかったのだ。

お金もなかったし。
装飾品を送れなかった私はハンカチに刺繍をしてプレゼントをした。
勿論花は私が苗から育てた白い百合も添えてだ。



「高価な品じゃないんですが…」

「ですが、そのハンカチのおかげで三度にわたる襲撃から邸を守ってくださいましたわね」

「え?」


襲撃事件って何?


「魔力がある職人などは制作した品に直接魔力が宿りますの。ドワーフ等が一番いい例です」

人間の職人が作った剣や盾よりもドワーフの作った物の方が頑丈で耐久性も優れている。


その理由は加護があるからだと思った。


「彼らは人間以上の強い魔力と、作った品への愛情が強いのです。思いが強ければ物に心が宿ります」


物にも精霊の力が宿るとされてると聞いたことがある。


「通常付与魔法とは誰でも持っていません」

「え?そうなんですか?」

「ええ…お姉様はご自身を過小評価し過ぎですわ。こちらのハンカチだって売れば金貨15枚はしますでしょう」


いやいや!
金貨15枚なんて言い過ぎだ。

銅貨三枚ぐらいでしょ?

「絹ではないのに」


「こちらのハンカチの素材はプシュケーのものですよね?」

「はい。プシュケーの繭で作った物で」

以前森に入った時にプシュケーが幼虫だった頃に怪我をしていたのを助けたらお礼にくれたのだ。


「プシュケーの繭は貴重です。商業ギルドでも手が出せない高価な代物なのですが…」

「嘘…」


普通に不要だからと沢山貰った。
我が一族のローブはプシュケーの繭で作られたものだった。


何着も持ってるんだけど。



知らなかった事実に頭を抱えてしまった。



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