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閑話3失われた加護
王都内の花が枯れだしたのは二週間前の事だった。
これまで美しく咲き誇っていた王都の象徴だった薔薇は少しづつ枯れ始めた。
その所為で王都内にある商業ギルドから花が消えた。
薔薇だけでなく百合なども同様だ。
百合の花は慈愛の象徴とされ、宗教国を招く時に絶対に必要なものだった。
その花がないとなれば別の花で補わなくてはならないが、代わりとなる花も用意できず外交の場でも相手に不快な思いをさせる始末だった。
特に大問題となっているのは王都内の三大学園とされる名門校。
セレンティア学園だった。
他国の留学生も多く、卒業生も社交の場として使うことも多い。
特に宮廷貴族の大半はこの学園に入学するのだが、シンボルとなる花は枯れてしまい。
学園内の敷地内のいたるところに薔薇や百合が咲いている。
春の女神が飾られ、王冠には薔薇が咲いていることが特徴だが、その薔薇は枯れてしまい見るに堪えない光景だ。
愛の神殿と呼ばれる場は女子学生が憩いの場にして読書を楽しむのだが、すべての花が枯れてしまい見る影もない。
また、学園内の一番大きな噴水には天使の像が飾られているが目が欠けてしまい泣いているようにも見える。
その所為で視察にしていたある国の貴賓は…
「なんということだ!」
「まるで灰色の時代の前触れではないか!」
「これが国一番美しい学園だと?我らを侮辱しているのか!」
イシュミール皇国の司祭と神官は激怒した。
代表としてこの度視察に来たのだが、あまりの有様に声を荒げた。
「お待ちください司祭様…」
「これは女神の怒りだ」
「そうだ。白い魔女殿を追放したことに女神はお怒りなのだ。加護を失ったのだ」
これが他国の貴族の言葉ならば軽く流せるが相手は宗教皇国の代表ならば話が代わってくる。
ある意味大国よりも宗教の国は影響力が強い。
宗教がない国は存在しないので大国から亡命して来た者達が最初に頼るのが教会だった。
時として王族貴族よりも聖職者を信頼することがある。
民に心から寄り添う権力者と呼ばれたのがイシュミール正教皇国の教皇だった。
「この学園では生徒の豊かな心を育てる場だと聞いてましたが…慈悲と寛容の魔導士殿を迫害しただけでなく国外追放したような学び舎です」
「なっ…」
「そんな場に知識の女神の恩恵は消えているでしょう。慈悲の欠片もない学園等」
イシュミール正教皇国の現教皇イシュタル。
セレンティア王国の現教皇を教え導いた人物でもあるのだった。
他国でも強い影響力を持ち正義の女神アストリアの代弁者とされる存在だった。
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