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閑話5失われた加護
しおりを挟む崩壊の兆しはゆっくりと確実に近づいていた。
「学園長代理!大変です」
「何だ!」
「本日で自主退学を申し出て来た生徒がまた…」
良いことはあまり続かないが、悪いことは続くものだ。
現在この男は最悪な事が芋づる形式に続いていた。
「西の辺境伯爵から、学園への兵の派遣を今すぐ撤退すると」
「東の大商会より、食料の援助を今月いっぱいで契約を切りたいと」
「学園の使用人の多くが辞表を!」
立て続けに学園を去ろうとする生徒に使用人が続出した。
「馬鹿な…何故こんな急に」
「ありえない…」
彼らは何も知らなかった。
現在学園に務めている平民は邪竜襲撃事件の被害者だったり、戦場で白の魔導士に命を救われた者の家族であることを。
命の恩人を不当な扱いにした第二王子を諫めることもなく一緒になって排除しようとした生徒や学園側に良い感情を抱くことはなかった。
同時に…
「白い魔女様が亡き後、この学園に尽くす理由がないと」
「なっ…死んでないだろ」
「ですが事件以来、お姿も見ておらず。エリザベート嬢もしばらく学園を休み喪服を着ていらしたので」
死んだという証拠はないが生きている証拠もない。
しかも社交界では第二王子のグレゴリーが国外追放を命じたとのことだ。
王都からみすぼらしい馬車が港に送られたのを見た者がいる。
しかもその馬車に乗っていたであろう女性は無理やり貨物船に乗せられたという目撃者がある。
銀髪の女性という目撃情報があれば信憑性が高いのだ。
貴族令嬢を第二王子でしかない者が勝手に国外追放にするなどありえない。
しかも相手は重傷を負っているならなおの事。
死んだと確認できなくても実質殺したも同然だと判断してもおかしくない。
「何故こうなった…やはりあの女が災いをまき散らしたのか!嫌われ者の一族が!」
学園の綻びはずっと前からゆっくりと始まっていた。
リネットを襲った事件はあくまできっかけに過ぎないのだが、誰かの責任することで自分を正当化したい人間は逃げるのだ。
現にこの男は自業自得でありながら被害者であるリネットを憎み、己の非を認めることはなかった。
その行為が更に学園存続を危ぶませ、イシュミール皇国を敵に回すことになるな気づくこともなかった。
「愚か者めが…やはり屑だな」
こっそりと身を隠した影が男を見ながら囁いでいた。
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