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54ああ愛しのワンコ様
思いっきり記憶にある!
「歩くこともままならず警察犬にすら落第を押され殺処分の私めを拾い育ててくださいました」
ダラダラと滝のように汗が流れる。
警察犬という言葉。
この世界にも警察組織は存在する。
ただし警察犬という言葉が問題なのだ。
この世界の警察組織に警察犬という言葉はない。
そうなると…
「アルフ・フォン・ムト・ハイム?」
「そうです!私めの真名でございます!」
ああ…
前世で私の愛犬だった警察犬だ。
元は捨て犬を拾い訓練して嘱託警察犬として活躍した後に警視庁の警察犬となった。
異例中の異例であるが私の実家は生粋の警察犬訓練所だ。
特に捨て犬や処分対象の犬を拾って社会復帰をすることを目的にしていた。
中には新しいパートナーを探す為に祖父が奔走していた。
捨て犬だった生まれて間もないジャーマンシェパード犬だった。
他のジャーマンシェパードの五分の一しか生きられないと宣告されても私が大事に育てた。
私の願いもあってか、私が前世で事故で亡くなる前まで傍にいた。
普通の寿命よりもずっと長く生きてくれたのだ。
私が傍で看取るはずだったのに逆になってしまったのだけど。
「ですが、私めはフェンリルとなりました。ご主人と再び巡り合うべく天界で千年間待ち続けたのですよ」
「千年…」
「ですが、天界のアホ神は何をとち狂ったのかこの私めとご主人を一緒に転生させなかったのでガブガブしてやりました」
「ガブガブ…」
天界の神々にガブガブしたのか!
アルフの牙は天下一品で今まで犯罪者をガブガブして来た牙だぞ?
「挙句私とご主人を違う国に落とすとは…女神としてご主人を転生して私めは聖獣としてお傍にいると言う完ぺきな計画は台無しです」
「そんな計画をしたのか…」
頭を抱えながらハッとする。
今までの会話を皆聞いているんじゃ…と思いきや。
「ご心配なく。他の皆さんは固まっています」
「へ…」
「恐らくショックを受けているので私達の前世物語は耳が竹輪です」
「竹輪…」
右から左に通り抜けるということか。
前世では我が家はかかあ天下で少し物忘れが激しくなった曽祖父ちゃんに怒る時にお祖母ちゃんが言っていた。
まさしくアルフだ。
我が家の愛犬で私の相棒の。
「ご主人、今生でも私めはご主人の犬となります。ご主人を傷つけた屑野郎はこの私めにお任せを」
何だろう。
前世の成犬になったアルフと重なるんだけど。
「いや、体が…」
子犬だったのに大きくなってない?
サイズだけでなく成長している。
「なっ…何だ!」
「魔力が膨れ上がっております」
復活した彼は私の前世云々は来ていなかったようで安堵したが。
「魔力を抑え込めレナ」
「はい!」
そうだ。
ここでフェンリルだとバレたらまずいわ。
急いで私も結界を敷き周りに見えないようにした。
「リネット…これは」
「外から見えない壁です」
少し手を加えて前世であったように中から外はみれても外から中を見れない結界だ。
うん、最近なんか調子がいいな。
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