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58仕組まれた毒
私は幼少期の頃から領地の薬草を食べて来た。
元から自己治癒能力が高く毒が効きにくい体で、他人が死に至る猛毒でも下痢で済む程度だ。
全く毒が効かないわけではない。
これも白の魔導士としての資格を持つ者の特権だ。
けれどまったく効かないわけじゃない。
「毒?」
「ビスケットに入っているスパイスは毒の成分があります」
ビスケットを手に取りお茶の入っていないカップに水を注ぎビスケットを割って入れると水の色が変色する。
「そんな…まさか」
侯爵家の侍女さんが真っ青になる。
「実に巧妙な方法です」
「ですが毒味はしっかりと…」
毒見係らしい若い侍女さんが声を荒げる。
「普通に食べる分は問題ありません」
「それは…」
「ですが、紅茶を飲んだ後に口を湿らせている状態だと口の中で毒が広がります」
恐らく毒を仕込んだ人間はお茶を飲んだ後に食べることを想定している。
リュドミーラ様のお茶とお菓子の食べ方を熟知しているのだろう。
「なんということだ…また」
「叔父上…またとは」
「これで三回目だ」
それはリュドミーラ様が頻繁に狙われていると言う事?
「先日も社交界でミラーシャのワインに毒が…」
「少量だったので死に至りませんでしたが」
未だに犯人は分かっていないようだ。
けれどこれで三回目となれば偶然とは思えない。
「このお菓子は」
「帝都内で取り寄せたものだ」
「特定は難しいですね」
特定の誰からの贈り物だったら分かる。
でも、リュドミーラ様だけが食べるとは分からないし、大勢が購入するならば運ばれている最中か…
「君が気づいてくれて良かった…ミラーシャは体が弱い。魔力に関しても…」
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