72 / 219
65運命を乗り越えて~リュドミーラside①
女神の怒りを買った女。
それが私、リュドミーラ・アルテリアにつけられたもう一つの名だった。
優しい両親と兄に大事にされ、ベルシュタイン家の加護の対価として私は生まれつき体が弱く魔力はほとんどといっていいほどなかった。
セレンティア王国では貴族、平民だけでの差別だけではなく。
魔力があるか無いかで優劣をつける。
生まれ持った才能をすべてと考える意識が根強く、人の価値まで決めつけられる。
そんなことは馬鹿げていると聡明な父がおっしゃっていた。
私もそうおもう。
でも、私を妬む輩は私の弱い部分を叩いてきた。
ベルシュタイン家は代々女神の加護を受ける。
周りからは羨ましいと言われるがその一方で加護を受けた者は幼少期に強い加護に苦しむ。
加護を受けないこともある。
当初兄は軍神の神の加護を受けていたのだ。
最も強い女神の加護を受けた場合、女児は早逝すると言われている。
稀に加護に耐えられる者もいたが、片手で数える程度で、奇跡でも起きない限り不可能だった。
奇跡を起こす者。
人は聖女と呼んだ。
正教皇国では聖女を名乗ることを罪と考えている。
通常聖女は教皇かその地位に近しい者を指す国も少なくない。
救国の聖女という物語もあるが、女神の代弁者となるのが教皇となり神殿のトップが認めない限り聖女と名乗るのは神への冒涜とみなされている。
けれど過去にベルシュタイン家の当初となった女性が多きすぎる加護で命を失いかけた時聖女が現れ命を救ったという記述がある。
もし聖女様が存在するならば心優しい慈悲の化身だと思った。
残念なことにその聖女様は私達の代では現れないだろうと思った。
女神アリテナの加護を受ける女児も生まれない。
けれどベルシュタイン家には強い魔力を得る対価があり、兄弟の片方が強い肉体を得るとその後に生まれた子供が病弱に生まれる。
人は犠牲無しに大いなる力を得ることはできない。
兄は私に泣きながら詫びた。
自分の所為で申し訳ないと。
兄が望んだわけじゃない。
だから兄を恨む気はないけれど、周りはここぞとばかりに私が邪魔だと同情の視線を向けながら嘲笑った。
他人の不幸は蜜の味。
公爵筆頭家ならば猶の事だ。
けれど私は絶対に不幸じゃなかった。
むしろ幸福だったと思う。
貴族の家庭は冷たく、血を分けた家族ですら平気で殺し合う。
己が生きる為に親が子を食らうマムシのようだ。
けれど、私を守る為に苦悩してくださった両親にお兄様。
愛されることの喜びを知らないことがどれだけ悲しいか知っている。
そして打開策が見つからない中、私は恋を知った。
お相手はリーシュフェル帝国の第二皇子殿下。
フェリックス・リーシュフェル様だった。
あなたにおすすめの小説
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
義妹に婚約者を譲りました。貧乏伯爵に嫁いだら、溺愛と唐揚げが止まりません
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「お姉さまの婚約者が、欲しくなっちゃって」
そう言って、義妹は私から婚約者を奪っていった。
代わりに与えられたのは、“貧乏で無口な鉄面皮伯爵”。
世間は笑った。けれど、私は知っている。
――この人こそが、誰よりも強く、優しく、私を守る人、
ざまぁ逆転から始まる、最強の令嬢ごはん婚!
鉄面皮伯爵様の溺愛は、もう止まらない……!
【完結】身代わりに病弱だった令嬢が隣国の冷酷王子と政略結婚したら、薬師の知識が役に立ちました。
朝日みらい
恋愛
リリスは内気な性格の貴族令嬢。幼い頃に患った大病の影響で、薬師顔負けの知識を持ち、自ら薬を調合する日々を送っている。家族の愛情を一身に受ける妹セシリアとは対照的に、彼女は控えめで存在感が薄い。
ある日、リリスは両親から突然「妹の代わりに隣国の王子と政略結婚をするように」と命じられる。結婚相手であるエドアルド王子は、かつて幼馴染でありながら、今では冷たく距離を置かれる存在。リリスは幼い頃から密かにエドアルドに憧れていたが、病弱だった過去もあって自分に自信が持てず、彼の真意がわからないまま結婚の日を迎えてしまい――
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。