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73女神に弓引いた者達~フェリックスside①
リネット姫が我が家に滞在してしばらくた頃。
セレスティア王国では天災が続き、王都内で暴動が起き始めていることは耳にしていた。
私は単身でセレスティア王国に向かうことになった。
「ご無沙汰しております義兄上、義姉上」
ベルシュタイン家別邸にて久しぶりの再会を果たす。
「フェリックス」
「遠路はるばるお呼びして申し訳ありません」
多忙で国内を走り回っている義兄と義姉。
我が愛しの妻ミラーシャの兄夫婦に当たる方達だった。
「現在国が混乱の真っただ中故に、すまない」
「私達も昨夜到着した所なのです」
お二人が戦場から急ぎ帰還したことは姿を見ればわかる。
「公爵家の方は娘に任せてあります」
「相変わらず逞しいご息女ですね」
エリザベート嬢ことシシィ姫。
ベルシュタイン家の長女であり、女神アリテナの加護をその身に受ける令嬢だ。
セレスティア王国の守護女神とされ十二神の一人でこの国は初代国王の時代からアリテナを信仰している。
神話の時代は地上を守る女神とされていた。
その女神の加護を得ると言うことは国を繫栄に導き、同時に他の神々からの介入を阻止することもできると言われている。
故に王族も無視できない存在なのだが、その女神の加護を持つ令嬢を自ら手放し、今現在相応の罰を受けているということだ。
「リネットはどうすごしているかしら」
「お元気にお過ごされております。お役目からも解放され…なんといいますか」
どう答えればいいのだろうか。
お役目から解放された所為で、魔力を無意識に使い放題だと言うべきか。
「その…本人は自覚無しに治癒と結界を」
「使いまくっておるのだろう?」
「はい…」
言い方が少し問題だが、間違いはない。
リネット姫が祖国を離れ、我が帝国に足を踏み入れてから異例の出来事が起きたのだ。
まずはじめてに、オークが領地に近づかなくなったことだ。
今までは頻繁に人を襲い、特に東と北の領地を襲っていたのだが、近づこうともしない。
そしてもう一つ、帝国は干ばつの影響が酷く水不足だった。
なのだが、リネット姫が我が領地に来てから雨が降り始め、命の源となる聖泉に水が湧きだした。
おかげで帝国内では枯れた井戸や、泉の水問題が解決している。
帝国には聖泉という者が存在する。
水魔法に恵まれない我が帝国が唯一水の加護を得ることができる神聖なる神殿だ。
その神殿の泉が枯れると言うことはポーションを作ることができなくなることになる。
これまで多くの聖騎士や魔法師が魔力を送っても意味がなかった。
なのにリネット姫が帝国に来てから徐々に泉から水が湧きだしたのだ。
長年、魔力が失われ神殿自体も崩壊の危機に合った。
その所為で神殿が凍り付いてしまい、神殿の庭園にある泉の枯れてしまったのだが。
氷が現在溶け出している。
偶然とは考えにくかったのだ。
「水の女神の力でしょうね」
「やはり…」
「女神の末裔であるリネットに水の女神が力を貸しているのでしょう」
フェリーチェ一族が彼の女神の末裔であることは聞いたことがある。
ただし一部の人間しかしらないのだが、セレスティア王国の王族が知らないはずはない。
だが、白の魔導士が冷遇されるあの国では治癒の女神を崇めようとしない。
どれだけ無礼な真似をしているか分からないのか。
「水の女神テティアと治癒の女神アスクピアーナは切っても切れない縁がありますわ」
「ええ…」
セレスティア王国の守護神を支える女神を粗末にすることは何を意味するか分かっていないのか?
ならばこの国は終わりだ。
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