乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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74女神に弓引いた者達~フェリックスside②






神とは気まぐれな者だ。
人間の我らとは感性も異なり情で動くことはない。

神々の秤ごとの中で、過酷な運命を強いられた者を高みの見物で見ていることも少なくない。

女神の使いとされた少女達に加護を与え、人は聖女と崇める。
だが、聖女の力は一生あるものではない。

神の怒りに触れれば消えたり、不況を買わなくても消える。

善良な神だけではない。
気まぐれで加護を与えて興味が失せたから加護を失う人間もいるのだから。


「神様とは残酷な方です」

「サラサ…」

義姉上は加護を受けることでその者の人生が変わってしまうことをずっと嘆いていた。


「私は娘に加護を得て欲しいと思っておりません」

「女神を否定するわけではない…だが、加護により失ったものは少なくない」


下手をすれば命を失うこともある。
身の丈に合わない力は己をも滅ぼすだろう。

「私達の時は運が良かったのです」

「白の魔導士が傍にいた。それこそ神々が仕組んだのだろう…だが、ヴィルフレッドとアナスタシアとの友情は運命ではない!」


今は亡き白の魔導士の夫妻。
誰よりも聡明で強いヴィルフレッド殿とその奥方アナスタシア殿。


あれほど優れた人材を失うことがどれだけの損失か分かっていない者が多すぎる。
国に尽くし、民に尽くした方達を国葬にしてもいいのに。


人知れず火葬し、その死も偽られるなど許されない。


「国王陛下はどうお考えなのです」

「第一王子のリシウス様と密かに動かれている‥‥というか」

「タヌキ爺め」

一国の王を堂々とタヌキ等と言えるのは義姉上ぐらいだろう。
見た目こそは可憐でか弱そうに見えるがかなり気が強い。

脳筋の義兄上をボコボコにできるぎらいだ。

「あのタヌキ爺はこうなることを予測していていましたので予防策もありますわ…まぁ応急処置的なものですけど」


「善良な市民には被害が行かないようにしている…今被害にあるのは」


成程、こういうことか。
いずれ、リネット姫の任を解くつもりでいたのだろう。

「陛下は見かけによらず優しい方でな。本来なら国葬にしたかったが、白の魔導士に否定的な者の声を抑え込められなかったのだ‥‥が、肖像画と石像は作らせている」

「それは…」

「過去に国の為に命を捧げた英雄と同じようにな」


聖人達と同じようにすることは金銭的にも大変だったはずだ。


「あの方は未だに悔いている。正当な評価を世に伝えられなかったことを」

「後から悔やんでも遅いですわ」

「だからこそ、今度こそと思ったが…あの悪女が裏でリネットの暗殺を企てていたからな」


なるほど、だからこそ表立って庇えなかったか。
白の魔導士を不当に扱う者や、無償で尽くしてくれる彼女に調子に乗る馬鹿な群衆達を痛い目に合わせるべきだと思ったのだろう。


「陛下はリネットが望むならば王家に召し上げることも考えているが‥‥望まないだろう」

「王家の椅子など、白の魔導士殿には枷でしかありません」


政治に関わりを持つことを拒否した彼の一族だ。


「ですが何故ここまで…」

「聖女と名乗るあの女が理由だ」

かつてミラーシャを侮辱したあの女か!







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