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75神に弓引いた者達~フェリックスside③
二人の案内で王宮に入り謁見の間に向かう途中、騒々しい声が聞こえる。
「貴様!いい加減にしろ!」
騎士に抑え込まれながらも暴れる人物にげんなりする。
「何ですあれは」
「この国の第二王子だった男です」
「だった?」
廃嫡が決まっていると聞いているが、まだ公表されていないのか。
それにしても随分と酷い顔だな。
「娘に喧嘩を売って返り討ちになったようだ。流石我が娘」
「甘いですわね。手足を使えないように寝たきりにすればいいのに」
義姉の眼が本気だった。
仮にも一国の王子に手を出せば危険だが、エリザベートは公爵家の長女であるだけでなく女神アリテナの加護を持っているならば処罰されるこちはない。
第一、正当防衛になるからな。
前科もある王子ならなおの事だったが。
「廃嫡が決定しているのに、何故普通に王宮内を歩いているんですか」
「見張りを言いくるめて部屋から出たのだろうな…相手は魔力のない騎士だ」
「後は自称王妃が権力を振りかざしたのでしょう?ああ自称聖女もいたわね」
「自称が多いですね」
そういえば自称王太子を名乗っていたな。
全部自称じゃないか。
「お止めくださいグレゴリー様!」
「どうかお部屋にお戻りください!」
出来れば関わりたくないが、こちらに向かってくる。
「いい加減に…貴様!」
こちらに気づいたが、公爵筆頭である義兄上を貴様呼ばわりをするなんて無礼過ぎるだろう。
「ごきげんようグレゴリー殿下…ああ、もう殿下ではございませんでしたわね?」
「義姉上…」
氷のように冷たい表情で笑いながら挑発するかのような事を言うなんて。
「氷のような目に、その不気味な髪は」
「あら?今時髪の色で差別とはお若いのに古風ですわ」
「ははっ…ご自分の好みではないから否定するとは古いですな。もう少し新しい時代をログインすべきですな」
義姉上だけでなく義兄上まで挑発するなんて。
恐らく義兄上は悪気はない。
悪気がない分質が悪いが。
「ハニー。君の髪は我が国の守護女神にも劣る程の美しさだ。君の髪はこの世界で一番美しい」
「嫌ですわ。そんな当然なことを今更おっしゃらないでください」
「言い足りないさ」
私も言えた義理ではないが堂々と人目を気にせずいちゃつく二人。
「貴様等!この俺がいる前でいちゃつくな!悪役令嬢の親共が!」
「まぁ悪役令嬢なんて素敵ね」
「ああ、グレゴリー様は我が娘がわざと悪人を買って出る英雄だと言いたいのだな」
「なっ!」
確かに物語の悪役令嬢とは悪役を買っているだけであって悪人ではない。
わざと悪役を演じているのだ。
「我が娘は社交場を乱す礼儀もできない自称ヒロインを罰する悪役令嬢を演じましたわ」
「流石だ。素晴らしい自慢の娘ですぞ」
この場に多くの貴族や王宮の使用人が集まっている中ですごいな。
こんなことを言えば、皆どう思うかなんて分かりきっている。
いや、わざと見せしめにしているのだろう。
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