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82派閥
「気に病む必要はない」
俯く私にレオが告げた。
「あの方は元より王座に興味がないし、辛いとは思われていない」
「でも…」
「むしろあの方が王になったら…大変だろう」
どうしよう。
あの奔放なリシウス様が王になったら国中の胃薬が足りなくなるのでは?なんて思ってしまう。
「周りを引っ掻き回すことに関しては天才的だ。同時にあの方は面白いことが好きだ」
「そうですね」
幼少期から美しい魔獣を献上されても興味はなく。
むしろあの方が興味を示したのは珍獣の類だった気がする。
「グレゴリー様の暴挙も面白いから捨て置けと言われていた」
「そーですか」
本来ならもっと早い段階で処分もできたはずだ。
リシウス様自ら手掛けた商業施設を我が物顔で使っていたし、馬もそうだ。
好き勝手にしていいはずがない。
にも拘らず、捨て置いたのはそういう理由か。
「グレゴリー様が暴走すればするほど悪徳貴族がつけあがり増長する。そうなれば後から叩き潰すのが楽だからだ」
「‥‥流石腹黒王子様」
「それを国で言ったら不敬罪よジル」
「分かってますよ」
第一王子派の人達はリシウス様の本性に気づいていないわけがない‥‥が本気で王位継承権を返上するとまでは思っていなかっただろう。
「ジル的にはどう思う?」
「私ですか?」
「王弟殿下のご子息が立太子するすることに」
第一王子派の意見はどう思っているのだろうか?
「すべてではありませんがまともな方達はさして問題ないかと」
「え?」
「そもそも、損得で動く者は第一王子殿下の派閥におりません」
いくら何でもそんなことありえるのか?
第一王子殿下派は辺境貴族が多いが、王都出身の貴族も多いと聞く。
「旧貴族はともかく、新貴族派のご子息は第一王子殿下に恩義がある方が多いので」
世界各地の国で貴族には二つの派閥が存在する。
家柄と血筋を重視する旧貴族派。
彼らは何代も続く名家の貴族だ。
その反対に平民から成り上がった貴族、新貴族派。
彼らは格式こそないが、平民や商人から成り上がった貴族で旧貴族派とは異なり改革を考える思考だ。
言うなれば実力主義。
これまで旧貴族があらゆる面で優遇され過ぎて来た。
実力が無くても出世できる立場にあったが、新貴族派その常識を壊そうと考えている。
リシウス殿下はある程度の身分差別はあれど、優秀な人材に活躍の場を与える為に翻弄されていた。
…となれば。
「現在新貴族の代表となる方々は第一王子派ですが、優秀な大公子息に対して反感はありません。むしろ逆かと」
優秀であれば年齢を問わずに出世できると思わせることができる。
元よりリシウス様とあの方は仲が良かったので敵対することは少ないと言えるだろう。
「では第一王子派の大半は問題ないかしら?」
「はい!」
これで少し突破口が開けた。
後は問題となる第二王子派の親玉だ。
ヴィネラーナ妃とその実家だった。
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