乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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91フェンリルの集い②






世間では恐れと敬意を持たれる伝説の魔獣は誇り高い。
長い歴史の中ではフェンリルに近い長命種、ドラゴンやフレースヴェルグは自尊心が強い分、一度信頼すれば忠誠心が強いと言われている。

過去に従魔契約をした後、主人の死後千年以上も忠義を貫いたとされる。
主人の墓を守りながら長い生涯を閉じたこともある。


その為、彼らにとって唯一無二の主を持つのは名誉なことだ。
ただし、主としての器がないとなれば即殺された逸話もあるのだが…


「ご主人を侮辱した下等な種族は簡単に殺してはなりません。死にたいと思わせながら地獄を味合わせなくては」

「当然です!既に奴らの食料は食い荒らしてきました」

「水路も止めております…ついでに糞を沢山してきました」

フェンリル達は一番嫌がる嫌がらせを地道に繰り返してきた。
まずはリネットを侮辱した貴族達の領地で食料を食い荒らし、次に邸の中に侵入し汚しまくったのだ。


「ご主人を馬鹿に見下した連中に教えてやるべきです」

ずっと孤独な戦いをしてきたリネットを思うと今も胸が張り裂けそうだった。
感謝されず、罵倒をされ生きる価値もないとまで言われながらも誰も恨むことなく人々を守り続けたリネットは顧みられることがなかった。


「これまでご主人に守られてきたことを思い知ればいいのです」

どれ程の恩恵を受けていたか知らない者達に思い知らせてやりたい。
誰も傷つけず求めなかったリネットがどれ程の想いをしていたか。

いかに魔力が強くても、使えるだけの技量がなくては意味がない。
結界魔術は攻撃魔術以上に難しく、体力の消費が激しく命を失うこともある。

なのにその行為を強要し感謝もせずに不当な扱いをした人間にそれ以上の報いを受けさせたかった。


「ご主人を苦しめる者は許しません。プライドが高い馬鹿には相応の報いを受けさせます」

「アルフ様…」

「良いですか。私たちの主を傷つける者に慈悲は不要。例え子供であろうとも容赦する必要はありません!」


服従審の強い動物は主に対する思いが強い。
従魔契約で真の契約を結んだ場合、従魔は未来永劫主に尽くすもの。

その主を侮辱し傷つけた人間は死後、数百年に渡り子孫が呪われたとも言われている。

その相手がフェンリル等悲惨以外何者でもない。


「かみ殺してやりますよご主人!貴女の敵はこの犬めが!」


月に向かって誓いを立てるように吠えるアルフだった。




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