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93恩知らずの末路②
結局消火活動が行われたのは三時間後だった。
魔物の討伐は宮廷魔導士達で行われるも消火活動には手が回らず、冒険ギルドマスターの二人が派遣された。
「なんとか火は消火できたが…」
「瘴気が溢れている。残った建物を燃やすべきだ」
消火活動の末に建物は全焼しなかったが魔物が残した毒となる瘴気が残っているので、ここら一帯の土地を草木が残らないように燃やすべきだと言われ、人々は猛反対した。
「燃やすだと!」
「ふざけるな!店が燃えて…残った倉庫までだと!」
何もかも失うと反対するもギルドマスターの一人が告げた。
「だが、毒は萬栄して被害が隣町に行くだろう。そうなったら責任を取れるのか?」
「俺達は善意で消火活動をした。このままでは瘴気が病となる…既に瘴気で苦しんでいる者はすぐに隔離されるぞ」
「なっ…治癒は!教会に行けばいいだろ!」
ギルドマスター達の言葉に絶句する。
この場にいる店主達は既に瘴気を吸っている。
「現在教会では戦災孤児や信仰心の強い民優先だ」
「アンタ達は十年以上教会にお布施してねぇだろ。しかも教会の退去活動をしてただろう」
「あっ…」
ようやく思い出す。
過去に教会は寄生虫だと罵倒したのがこの町の住人だ。
寄付なんて論外だと言いながら教会の関係者に冷たく接し、治癒師を拒絶したのだから。
「だが聖職者だろ!」
「聖職者だから何だ?自分達を蔑ろにした人間を救う義理はない」
「だが、これまでは…」
「白の魔導士様がいたからな」
ギルドマスターの言葉に息を飲んだ。
「教会側に頼み込んで町が困ったら手助けして欲しいと頼み込んでいた。十年間な…アンタ、十年前もケンタロウスから救ってくださったあの方に何をした?」
「それは…あいつが無能だから」
「ちゃんと守らなかったから」
十年前に、ケンタロウスが暴走した時のことだ。
「テイマーが暴走させたのに何故あの方を責めた?責めやすかったんだろ…まだ子供だったしな」
「それは…」
「何をしても怒らない。だから軽視して、町に来たあの方に嫌がらせをしたんだろ…出来損ないに売る花はないとな?」
「あっ…ああ」
「拒絶したのはお前達だろ。十年間無償で身を粉にして魔術を使ってくださった方に」
「大工ギルドは手を引かせてもらう。うちの鍛冶ギルド、大工ギルドはリネット姫と縁のある方だ」
「そんな!」
セレンティア王国を誇る大工ギルドと鍛冶ギルドはドワーフ達だった。
国内の建物の修繕もギルドを通しているのだが、彼らが依頼を拒否すればそれまでだ。
「既に彼らは撤退している…王都から離れるとのことだ」
「そんなことになったら俺達はどうなるんだ!」
名乗りを上げて来たのは武器を扱う店を営む店主だ。
ドワーフの作る武器は人間が作るものよりもずっと価値が高く他国から買いに来る商人、貴族も少なくないのだ。
「そんなことは知らん。ドワーフ殿に直接言え」
「まぁ、既に王都を出ているかもしれないがな?」
そう言って二人はその場を引き上げようとする。
消火活動さえ終われば自分達は用がないと言うように去って行くのだった。
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