乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

文字の大きさ
112 / 219

105正義を貫いた一族






闇の精霊の始まりは帝国の欲によるもの。
彼らからすれば、自分の意に沿わない者は排除してもいい。

時の権力者は自分に従って当然と言う考えを持っていた。


「なんと愚かな。馬鹿としかいいようがありませんわ」

「叔母上…」

「残念ですが、権力者の馬鹿の集まりはそのような考えを未だにしております」


高位貴族であるリュドミーラ様は社交界の闇を嫌という程理解している。


「ただ、人間族は魔王を一方的に敵にしているのです」

「アルフ?」

「そもそも戦争を仕掛けたのは人間側です」


表情は変わらないが毛を逆立てているアルフの怒りが読み取れる。


「かつて人間の国に瘴気が溢れたのは、闇の精霊だけの所為ではなく…高位精霊と無理やり契約したいがために精霊を襲ったのです」

「それは…」

「ご主人も御存じかと思いますが、水の精霊は温和な性格です。故に攻撃魔法を不得意とします」

「うん…」


水の精霊は癒しの化身と言われる。
故に治癒の魔法を得意とする一方で攻撃魔法が使えない。



「その精霊を捕らえ、他の精霊をおびき出そうと考えたのです」

「馬鹿なのか!そんなことをすれば恨みを買うだけだろう!」


「おっしゃる通り。ですが、欲深い馬鹿な下等な種族が愚か過ぎて学習能力がないのです」



もう否定する気にはなれない。


「ですが、その暴挙を止めに入った一人の少女が精霊を逃したのです」

「え?」

「そんなことをすれば…」

「ええ、大罪人として火あぶりの刑となり燃え盛る炎の中で懺悔を求められました」


何所までも酷いの!
そんな惨い真似を平気でするなんて。


「群衆はその方を悪として罵倒を浴びせました。正しいことをしているのに周りから責められ死を望まれました。ですがその方は燃やされる中、皆に憐みの眼を向けたのです」


その方は気づいていたのだろう。
自分達がどれ程酷いことをして正当化する民達の愚かさに。

だから憐れんだ。


「帝国民を哀れに思いながら命尽きる瞬間、魂だけが守られたのです」

「守られた?」

「はい、生前善い行いをした人間は天界に迎えられ新たな転生を約束されます。後にその方は再び地上に生を受けました。その名がオンディーヌ・フェリーチェ様。ご主人の祖先にあたる方です」

「えっ…」


私の祖先?


「その当時、既にアスクピアーナ様の子孫として地上に生を受けておられました」


「それは…」


「言うまでもなく、彼女の死を天界からアスクピアーナ様は嘆かれました。悲しみのあまり泣いて過ごされたのです」


そんな大昔から私の祖先は存在したのか。
とんでもない程巻き込まれ体質だと思う私だったが、アルフは続けた。


「悲しみに暮れるあの方に水の神、ポセイドス様は詫びました。我が子同然の精霊を救ってくれたことの感謝を」

「神話でも寛大である性格だとされていたからな」

「はい、正しい行いを命がけてされたことに感銘を受け、その魂を再び傷一つなく転生させ、尚且つ水の精霊の加護を与えられたのです。それが後に最強の結界となりました」


その魂が傷つけられることがないように。


同時に豊穣の加護も与え、辺境地と呼ばれる領地で穏やかに過ごせるようにと宝石等もを与えたとか。

しかしここで予想外の出来事が起きたそうだ。


そう、白の魔導士特有の悪い癖だ。



感想 116

あなたにおすすめの小説

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ
恋愛
 ❈ 追記 長編に変更します。 16歳の時、私は第一王子と婚姻した。 いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。 私の好きは家族愛として。 第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。 でも人の心は何とかならなかった。 この国はもう終わる… 兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。 だから歪み取り返しのつかない事になった。 そして私は暗殺され… 次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】身代わりに病弱だった令嬢が隣国の冷酷王子と政略結婚したら、薬師の知識が役に立ちました。

朝日みらい
恋愛
リリスは内気な性格の貴族令嬢。幼い頃に患った大病の影響で、薬師顔負けの知識を持ち、自ら薬を調合する日々を送っている。家族の愛情を一身に受ける妹セシリアとは対照的に、彼女は控えめで存在感が薄い。 ある日、リリスは両親から突然「妹の代わりに隣国の王子と政略結婚をするように」と命じられる。結婚相手であるエドアルド王子は、かつて幼馴染でありながら、今では冷たく距離を置かれる存在。リリスは幼い頃から密かにエドアルドに憧れていたが、病弱だった過去もあって自分に自信が持てず、彼の真意がわからないまま結婚の日を迎えてしまい――

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

義妹に婚約者を譲りました。貧乏伯爵に嫁いだら、溺愛と唐揚げが止まりません

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「お姉さまの婚約者が、欲しくなっちゃって」 そう言って、義妹は私から婚約者を奪っていった。 代わりに与えられたのは、“貧乏で無口な鉄面皮伯爵”。 世間は笑った。けれど、私は知っている。 ――この人こそが、誰よりも強く、優しく、私を守る人、 ざまぁ逆転から始まる、最強の令嬢ごはん婚! 鉄面皮伯爵様の溺愛は、もう止まらない……!

秘密の多い令嬢は幸せになりたい

完菜
恋愛
前髪で瞳を隠して暮らす少女は、子爵家の長女でキャスティナ・クラーク・エジャートンと言う。少女の実の母は、7歳の時に亡くなり、父親が再婚すると生活が一変する。義母に存在を否定され貴族令嬢としての生活をさせてもらえない。そんなある日、ある夜会で素敵な出逢いを果たす。そこで出会った侯爵家の子息に、新しい生活を与えられる。新しい生活で出会った人々に導かれながら、努力と前向きな性格で、自分の居場所を作り上げて行く。そして、少女には秘密がある。幻の魔法と呼ばれる、癒し系魔法が使えるのだ。その魔法を使ってしまう事で、国を揺るがす事件に巻き込まれて行く。 完結が確定しています。全105話。