126 / 219
117究極の選択~レオナルドside①
エリクサーを作り出してからというもの、リネットは何かを振り切ったかのように神話の事を調べ出した。
過去に帝国と起きた負の歴史を徹底的に調べ、尚且つ帝国との一番の問題。
奴隷の紋章を刻まれた精霊達を救うべく過去の伝承などを徹底的に調べる傍らでポーションの質を上げるべく寝る時間も惜しんでいる。
「まだ寝ていないのか」
「新薬の調合をと…」
食事の時間も忘れる程に没頭している。
昔から引きこもりだったリネットは、興味がある研究は昼夜問わずだった。
様々な事が一度にあり過ぎた。
白の魔導士の祖先の事や、帝国の闇に精霊達が受けた苦しみ。
リネットが女神の子孫でいること。
一度に沢山の事があり過ぎて正直、私自身も受け入れきれないことが多い。
だが、一番辛いのはリネットではないのだろうか?
正直、リネットは富も名声も興味がない。
私は嫡男であるが、リネットを無理強いする気はない。
社交界に出るのも最低限でもいいとも思っている。
リネットは治癒師としての功績がある。
故に社交界に表立って出るよりももっと重要な役割がある。
社交界の華等、リネットには似合わない。
母も社交界には最低限しか出ていなかったし、両陛下の許しの元王都を離れて国の為に働いているのだから。
「レオナルド様」
「メープル。どうした?」
「恐れながら…」
何か言いたげな表情だな。
今更遠慮することもないのだが。
「申してみよ」
「はい。リネット様との婚姻はこのまま続行されるのでしょうか」
「何?」
メープルの発言は私への侮辱にも等しい。
傍にいるレナの眼が険しくなる。
「メープル!」
「申し訳ございません!ですが、私はこのままリネット様は籠の中の鳥も同然です」
「言葉が過ぎましてよ!」
ベルシュタイン家に絶対の忠誠を誓うレナ。
リネットに忠義を尽くしているメープルの双方譲らない大勢だ。
「リネット様のご先祖様は表舞台に出ないように今日まで奮闘されておられました。その理由は権力者に使用されることを危惧しての事」
「それは…」
「旦那様は公爵となられる方です。そうなればどうなりますか…最悪帝国に側妃に召し上げられることだってあります」
「馬鹿な事を…そんな」
「ないと言い切れません!時の権力者は女を政治の道具になさいます。旦那様が望まなかったとしても」
帝国の力は偉大だ。
精霊からの拒絶を受けていても軍事力は恐ろしく人口も我が国の倍だ。
国同士がぶつかればどうなるか。
大帝国と呼ばれるが故だ。
「治癒師が不足する国でリネット様に無体を働き、その結果がどうなりましょうか」
「メープル!」
「私にとってリネット様は唯一無二の主にございます。主を守るのが侍女の務めです」
普段使うことがない愛剣が握られている。
その意味は、己の命を差し出しても敵わない。
命がけで直訴するも同然の意味だった。
あなたにおすすめの小説
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
義妹に婚約者を譲りました。貧乏伯爵に嫁いだら、溺愛と唐揚げが止まりません
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「お姉さまの婚約者が、欲しくなっちゃって」
そう言って、義妹は私から婚約者を奪っていった。
代わりに与えられたのは、“貧乏で無口な鉄面皮伯爵”。
世間は笑った。けれど、私は知っている。
――この人こそが、誰よりも強く、優しく、私を守る人、
ざまぁ逆転から始まる、最強の令嬢ごはん婚!
鉄面皮伯爵様の溺愛は、もう止まらない……!
【完結】身代わりに病弱だった令嬢が隣国の冷酷王子と政略結婚したら、薬師の知識が役に立ちました。
朝日みらい
恋愛
リリスは内気な性格の貴族令嬢。幼い頃に患った大病の影響で、薬師顔負けの知識を持ち、自ら薬を調合する日々を送っている。家族の愛情を一身に受ける妹セシリアとは対照的に、彼女は控えめで存在感が薄い。
ある日、リリスは両親から突然「妹の代わりに隣国の王子と政略結婚をするように」と命じられる。結婚相手であるエドアルド王子は、かつて幼馴染でありながら、今では冷たく距離を置かれる存在。リリスは幼い頃から密かにエドアルドに憧れていたが、病弱だった過去もあって自分に自信が持てず、彼の真意がわからないまま結婚の日を迎えてしまい――
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
【完結】無関心夫の手を離した公爵夫人は、異国の地で運命の香りと出会う
佐原香奈
恋愛
建国祭の夜、冷徹な公爵セドリック・グランチェスターは、妻セレスティーヌを舞踏会に残し、早々に会場を後にした。
それが、必死に縋り付いていた妻が、手を離す決意をさせたとも知らず、夜中まで仕事のことしか考えていなかった。
セドリックが帰宅すると、屋敷に残されていたのは、一通の離縁届と脱ぎ捨てられた絹の靴。そして、彼女が置いていった嗅いだことのない白檀の香りだけだった。
すべてを捨てて貿易都市カリアへ渡った彼女は、名もなき調香師「セレス」として覚醒する。
一方、消えた妻を追うセドリックの手元に届いたのは、かつての冷たい香りとは似て非なる、温かな光を宿した白檀の香水。
「これは、彼女の復讐か、それとも再生か——」
執念に駆られ、見知らぬ地へ降り立った公爵が目にしたのは、異国の貿易王の隣で、誰よりも自由に、見たこともない笑顔で微笑む「他人」となった妻の姿だった。
誤字、修正漏れ教えてくださってありがとうございます!
姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています
もちもちほっぺ
恋愛
侯爵家の地下室に住み、姉の食べかけで飢えをしのぎ、婚約者には初対面で「老婆のようだ、姉の方がよかった」と言われた令嬢リリアーナ。
ある日その婚約者に問答無用で公爵邸に連れ帰られた。
庭の恵みを口にするたびに肌が輝き、髪が艶めき、体に力が満ちていく。首に巻いたお守りの秘密、十数年続く国の不作の真実、虐げられ続けた令嬢の出生の謎。
全てが明かされる時、地下室令嬢の逆転劇が始まる。
なお婚約者は今日も庭でグルメリポートを最後まで聞いている。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。