乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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閑話9立ち上がる悪役令嬢達~エリザベートの場合②



通常、王族の護衛騎士に選ばれるならば剣術、体術は当然ながら。
立ち振る舞いも求められる。


サーペンス家は騎士の家柄だった。
元は平民でありながら、長い歴史の中優れた騎士として評価を受け、現在は伯爵位を得ている。


その嫡男が貴族令嬢に足をひっかけられてコケるなんてあってはならない。

「貴様!わざと足を…」

「わざとではありませんわ」

「嘘を…」

「ですが、騎士様ともあろう方が淑女の足に躓き転ぶとは…なんて軟弱なのかしら」

扇を広げながら凍えるような瞳を向ける。
周りの温度が絶対零度になりかねない程の寒さを感じる。


「王族の護衛騎士となられる方は皆体術がすぐれているだけではありませんわ。周りにも目を配るのですが?貴方は周りを見れないのですね?」

「何を…」

「か弱い女性の足を避けることもできない…体幹がありませんわ」


あくまで子供を相手にするようだ。
対するミノウスは大声で怒鳴ることしかできない。

そんなやり取りを見て周りはドン引きしている。


「ありえない」

「王族の護衛騎士様が、あんな…」

「女に溺れて訓練をサボっていたとはいえ、か弱い令嬢に」


周りに人が集まり、ここぞとばかりにミノウスを責めた。
生徒の中には騎士を目指す者や、騎士科に所属する生徒がいる。

平民で王宮勤めの騎士を目指すのだけでも大変なのに、幼少期からの付き合いという理由で優遇されて来たミノウスは実力があっても選ばれなかった生徒からすれば嫉妬の対象だ。

それでも実力があるならば納得もできたが、堕落した姿を見せつけられれば殺意を抱く。


挙句の果てに騎士としての誇りを捨て、罪のない令嬢に暴力行為をして、その行為を認めずに謝罪もしないとなれば同じ騎士として恥ずべきことだった。


「見苦しい…」

「騎士に泥を塗るなんて」

「公爵令嬢に対する礼儀もありませんわ」



周りからの視線に耐え切れないのはミノウスだけではない。
隣にいる貴族子息達。

元はグレゴリーの側近で、聖女様ご一行と呼ばれた者達だった。



かつては偉そうに踏ん反り帰り、身分が低い生徒や、魔力が弱い生徒を見下していたことで、冷たい視線を浴びていた。


彼らは既に後ろ盾もなく、守ってくれるものは何もない。
婚約者に婚約破棄を突きつけた者もいれば、シャルロットこそが未来の王妃に相応しいと豪語して裏切ってはならない相手を裏切った故に、手を差し伸べてくれる人はいなかったのだから。


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