乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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閑話12悪役令嬢達は立ち上がる~エリザベートside⑤








廊下を歩いていると遠慮がちに拍手の音が聞こえた。


「リシウス様?」

柱にもたれているリシウスとフェリックスがいた。


「義叔父様まで…」

「いやぁ、見事だったよ」

二人揃って拍手を送られ呆れた表情をする。
一部始終を見ていたと気づいたからだ。


「お見苦しい姿を見られましたわ」


「いいものを見せて貰ったな。ただ、壁を殴るだけなのが物足りない」

「壁の修繕費は、ちゃんとお支払いいたしますわ」

「支払うのは貴女じゃない。挑発して来た太っちょ子爵だ」

名前すら憶えていないリシウス。
彼にとってはどうでもいい存在であり、気に留める程ではない。

ただ家名は調べればすぐに解るので、親に請求すればいいだけだ。

「噂では父君は左遷され地方に飛ばされた子爵様だとか」


「ならば借金地獄だな。貴方が殴った壁はその辺の壁ではないからな。可哀想に」

表情と言葉がちぐはぐだった。


「しかし公の場であそこまで踊ってくれて助かった。証言も録音済みだ」

「随分と準備がいいですね」

「なんとなくこうなることは予想できた。聖女様ご一行様がエリザベートに突っかかるのが…だが、私はくだらない噂を流した馬鹿も排除したかった」


「彼らは直接的ではありませんが噂を流してリネットお姉様の誇りを汚しました」

「ああ、白の魔導士の悪い噂を未だに国外に流している。許せるか?」

「許せるはずないでしょう」


宮廷魔導士を辞めたリネットを未だに攻撃するのは八つ当たりのようなものだ。
先日、流行り病の所為で多くの宮廷魔術師達が派遣された。

その所為で、在学中の魔術師が現地で病に耐え切れずむざむざ帰還したのだ。
現地ではこれまで治癒師として一人で働いていたリネットと比べられ恥ずかしい思いをしたのだ。

挙句、現地の人々は宮廷魔術師に対して拒絶が激しかったのだ。


「役立たずの魔術師はどっちなのだろうな?まぁ今更後悔しても遅いな」

「ポーションもない状態ですものね」

「まぁ、ポーションは私の方で確保しているがな?今頃現地に届いているだろう」


万一に備えて備蓄しているポーションがあった。
そのポーションを病で苦しみ者達に送ることで救済措置をするつもりだった。


「意地の悪い方」

「魔術師が使い物になればポーションは必要ない…ただ、ポーションで病は治らない」

「ええ、疫病の方々には…」

「治癒師に少しでも治癒力を上げてもらうぐらいだ」

焼け石に水状態であるがないよりもマシだ。



「それでも、我々は逃げられない…今の国現状が最悪でもだ」

「分かっています」

「お二人とも…」


リシウスは国の大事であってもリネットに頼る気はない。
むしろここでリネットを頼れば皆思うだろう。

何かあってもリネットがなんとかしてくれる。
誰か一人の犠牲で成り立つ国などあってはならないからだ。



「彼女が国に戻る前に握りつぶす。その為にも貴女が爵位を引き継ぐことは…」

「覚悟はできております」



公爵家を継承することになっているエリザベートは迷いはなかった。


新しい時代を切り開くために覚悟を決めたのだから。


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