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126歪んだ貴族社会
事実がどうであれ、この小説の内容は名誉棄損に関わる。
作家だけでなく、この本を発行した出版社からかかわったすべての人に危険が及ぶだろう。
「心配はなくてよ」
「え?」
頭を抱える中明るい声が聞こえる。
「作家はハインツ侯爵令嬢だけど、メルクリース子爵家を筆頭に正義商人が協力して発行しているようですから」
「リュドミーラ様?」
「ちなみにだけど、王妃陛下も許可しているそうよ」
何故かその手には二冊の本が。
「叔母上、貴女もですか」
「素晴らしい作品ですわ。帝国にも今月から発行されますのよ!児童文学にちょうどいいわ」
「そんなものを子供に!」
略奪、冤罪、暗殺のワードが入っているのに。
コンプライアンスという言葉はないのか?
「人を蹴落とせばどうなるか、人を呪わばな穴二つということを理解させられるわ」
「そーですか…」
情操教育に必要と?
私的には人にやさしくすることや、悪いことをしないことを丁寧に教えたり、豊かな心を育む教育を重視すべきではないかと思いたい。
「帝国でも幼い令嬢がちゃおっとした我儘で昨年も使用人が凍死したのよね」
「は?」
「雪山で幻の花を探して来いと命じて、その使用人は遭難して死んだそうよ」
ゾッとした。
いくら幼いからと言ってもそんな物事の分別がつかないの?
「他にも薬をお茶に飲ませる悪戯をして飲んだ子供は失明してしまったのよ」
「帝国の貴族社会は歪んでませんか」
「ジル…言葉を慎みなさい。親が真面じゃないからよ」
ジルの言葉も問題だけど、もっと酷いのはメープルだわ。
「帝国では、身分至上主義の考えがまだ根強いのよ。一部だけど」
「何所の国も共通してそういった輩がいるからな」
分かってはいるけど。
知りたくなかった事実だ。
平民の命は軽い。
貴族の気ままで奪ったとしても罰せられない。
何故ならそういった輩はずる賢く、隠ぺいすることに関しては天才的だ。
そして己の罪が明らかになった時は身代わりを仕立て上げるのだから。
例え罪が明らかになっても貴族だと言う理由で、領地に謹慎処分になる程度だ。
他人の命を奪いながら償いもしない。
財があればお金でねじ伏せることも可能なのだから。
「だからこそ革命が起きるんだ。間違った政治を続ければ民の不満は募る」
「レオ…」
「だからこそ我が国は、変わる時なのかもしれない」
ずっと国を良くしたくて頑張って来たレオ。
平民も貴族も幸せになれることを願っていらしたリシウス様。
けれどここまでしなくては変わるきっかけが見いだせないのが悲しかった。
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